高齢者の健康と体力づくりについて知っておくべきこと

高齢者の健康と体力づくり」はこれからの日本社会において、とても大切な議題です。周りに高齢者がいる方、又は高齢者ご自身も、健康と体力づくりについて一度確認しておきましょう。

スポンサーリンク

高齢者の健康と体力づくり

超高齢化社会に突入したと言われる日本において、これは誰もが覚えておくべきことかもしれません。

高齢者の人こそ健康寿命を延ばすために、健康や体力の維持・向上を目指して運動を開始したり、食事習慣を改めていくべき。

しかしそうは言っても、わざわざそのために運動をするやる気が起きなかったり、健康や体力維持のために、何を注意しながら行っていったらいいのか分からないという高齢者の人も多いかもしれません。

そこで今回、地域のフィットネスセンターで活躍され、ご自身もたくさんの高齢者の方々の健康増進のお手伝いをしているErikoさんに、高齢者の健康や体力づくりについて記事を寄稿していただきました。

まずは現在の高齢者の健康・体力の状況を、簡単に確認するところから初めていきましょう。

(以下寄稿文)


スポンサーリンク

日本の高齢者の健康や体力の現状とは?

現在は、国民の4人に一人が65歳以上と言われる高齢化社会へ突入しています。また、日本は平均寿命でも世界で1、2位に入る長寿国。

実際、2015年度にスポーツ庁が行った調査で、日本の高齢者の体力数値が15年前と比べると大きく伸びていることが分かっています。

高齢者の体力は年々向上し、

  • 握力
  • 上体起こし
  • 長座体前屈
  • 開眼片足立ち
  • 10m障害物歩行
  • 6分間歩行

の6種目で体力を測定したところ、70歳代では15年間で5歳も若返ったという報告があるぐらいです。

一方、日常生活に支障のある高齢者の割合は、65歳〜69歳のグループでは全体のおよそ15%しかないのに対して、年齢を追うにつれて増えていき、80歳〜84歳では男性で約35%、女性で約38%が生活に支障をきたしてしまうという報告もされています(内閣府)

高齢者が健康や体力づくりに励むべき理由とは?

上に示したように昔と比べると、全体的に日本の高齢者の方の健康や体力は、高まっている傾向にあると言えますが、やはり歳をとることで、健康的な生活が送れない割合は増えてしまいます。

そうであれば、高齢者の方こそ健康や体力に気を使って生活していくべきじゃないでしょうか?

ここでは、高齢者の方が健康や体力づくりに励むべき理由を、3つの視点から見ていきたいと思います。

100歳まで元気に歩くために

私たちの体は、年齢を重ねるほどに骨や関節、筋肉などの、体を支えたり動かしたりする運動器官の機能が低下していきます。そのスピードは40代後半から一気に加速されます。

骨がもろく折れやすくなる「骨粗鬆症」や、ひざの軟骨がすり減って痛む「変形性膝関節症」などの運動器の不調がいくつも重なると、「立つ、座る、歩く」と言った日常の基本動作がつらくなります。

そして、そのまま何の対策も取らずにいると、次第に自力で歩く力が衰えてしまいます。

やはり長生きをするなら、どこかへ行く時には自分の足で歩いて行きたいですよね?それは、高齢者の方にとっては自尊心にもつながってくるはずです。

であれば、健康や体力づくりを日頃から行って、自分で歩けるような体力を養っておくことが大切ではないでしょうか?

普段の生活において時間を見つけて、ちょっとした距離なら自分の足で歩いたりするといった活動を継続するだけで、寝たきりや死亡のリスクを減少させる効果があります。

年齢を重ねても、活き活きとした生活を続ける土台が歩く力です。そのためにも、高齢者の方は健康や体力づくりを意識的に行っていきましょう。

認知症の予防に

認知症も加齢とともに発症率が高くなります。

2015年の厚生労働省の推計では、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症であるとされており、今後もその割合の増加が見込まれています(参照:厚生労働省

最近ニュースなどでも耳にすることが多いかと思いますが、高齢者の認知症による交通事故などが大きく取り上げられています。

誰かが認知症を発症すれば、本人にも家族にも負担が大きくのしかかるかもしれません。

そんな認知症の発症は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・脳卒中・肥満などの生活習慣病と、深い関係があることが、最近の研究で分かってきているようです(参照:認知症ねっと

健康診断の結果を正常値に保つことや、食生活に気を付けること、また同時に適度な運動の継続が、認知症の予防に効果的だということです。

つまり、認知症によって思わぬ事故を引き起こしてしまったり、周りに負担を掛けないためにも、高齢者の方は積極的に健康や体力づくりを普段から行っておくと良いということなんです。

人生を若い時以上に充実させるために

ちょっと大きく出ましたが、健康であり年齢相応の体力があるということは、とても嬉しいことです。

  • 仕事に追われて我慢していた趣味やスポーツに、心行くまで時間を使える
  • 行ってみたかった場所に行くことができる
  • 会いたかった旧友と親交を深められる
  • 経験や知識を生かして、地域・社会に貢献できる

そんな時に「生きがい=人生の充実」を感じる高齢者の方々が多いと感じています。

一般的には、年齢を重ねれば重ねるほど、生きがいを感じる人の割合は低くなっていくような気がします。

しかしそんな中、65歳以上の高齢者に関しては、健康状態の良い人ほど、生きがいを感じている人の割合が高くなり、その割合はなんと9割にも達します(参照:交易財団法人長寿科学振興財団

つまり、現役で仕事をしている間は、生きがいを見失い初めていた人も、退職後に仕事から解放されると、健康状態次第では今まで以上に生きがいを感じ始め、人生の中でも充実した時間を過ごせる可能性が高いのです。

リタイア後の20年を充実した人生にするためにも、健康と体力つくりは大切なテーマになるってことですね。

高齢者が健康・体力づくりをする際に押さえておきたいポイント

「自分が年を取ったな」と感じるのは、どんな時でしょう?

  • 疲れが取れにくくなった時
  • 階段を上るのに息が切れる時
  • 人の名前が思い出せない時

何とか昔に戻りたい気持ちは理解できます。でも、昔と同じようなやり方で、健康や体力を増進させるというわけにはいきません。

そこで高齢者の方が、上手に体力を取り戻すための注意点を見てみましょう。

無理が効かなくなったことを受け入れる

高齢者になると筋肉も減少し、肺活量も減り、脳や体の各器官への酸素の供給も減ります。

そのために、体の各機能も衰えて行きます。

若い頃に比べて食が細くなり、低栄養に陥ってしまう人もいます。目や耳も年齢相応の衰えを感じているでしょう。

そんな体の変化を受け止めたうえで、目標を決めて体力づくりをしていくことが肝心。

若い頃にスポーツをやっていた人ほど、自分の体力に自信を持ちがちですが「無理は禁物」です。

体力つくり指導協会の作った、運動の7条件というものがあります。分かりやすいので上げておきます。参考にしてください。

【運動の7条件】
  1. 安全であること
  2. 楽しいこと
  3. 無理をしないこと
  4. 長続きさせること
  5. 効果が有ること
  6. 人と比べないこと
  7. 自分の能力にあった運動を選ぶこと

(参照:内閣府認定交易財団法人 体力つくり指導協会

自分に合ったペースを見つける

無理がきかないことを自覚したら、自分に合った運動方法やペースを探しましょう。

運動の種類は筋トレも良いですが、体全体を万遍なく動かす有酸素運動も外せません。

ウォーキングは入門編と言ったところでしょうか。

膝への負担を軽くするために、サイクリングやエアロバイク、水泳などもオススメです。バランス良く体を使える運動を行っていきましょう。

運動の強度は、運動しながらおしゃべりができる程度のペースが良いでしょう。そのペースで20分歩くと、およそ2,000歩歩くことになります。

よく1日1万歩と言われていましたが、日常の活動と合わせて1日8,000歩でも、十分効果が上がります。

有酸素運動は毎日行っても問題ありませんが、筋トレは、筋肉の回復を待った方がいいので、週に最大で3回程度の方が望ましいでしょう(※部位別に鍛えたりと細かいことを言えばその限りではありませんが、小難しいことは省きます)

筋トレを行って、疲れが翌日に残ったり筋肉痛になる時は、運動強度をもう少し下げて行っていきましょう。

規則正しい睡眠をとる

規則正しい生活は、高齢者に限らず健康のために大切なことです。

生活習慣病という言葉が示すように、日々の生活の積み重ねが私たちの体を健康にも不健康にもします。

規則正しい生活の第一歩に、規則正しい睡眠が挙げられます。

高齢者になると眠りが浅くなりがちです。寝つきが悪いと感じたり、夜中に何度も目が覚めてしまったり。

こんな状態を改善するには、適度な運動が効果的です。

睡眠中に体内では、

  • 体を成長させ再生する働き
  • 免疫力を高め病気を治す働き
  • 老廃物を排除する働き
  • 翌日の活動に備え必要なエネルギーを蓄える働き
  • 脳と精神活動のメンテナンスをする

といった、とても大事なことが起こっています。

日中の運動は良質な睡眠をもたらし、高齢者の体力づくりにはとても大切なポイントになってきます。

食事に気を配る

年齢を重ねると、食が細くなります。

胃や腸など消化器官も衰えてきますので、段々と食が細くなるのも仕方のないことです。しかし、飽食の時代と言われている現在、高齢者の低栄養が問題視されてきています。

食が細くなるのに加え、野菜中心の粗食が体に良いと言われてきたからです。

しかし、野菜中心のいわゆる「ヘルシー食」ではタンパク質が不足し、骨や筋肉などが再生できません。

今ではこれを新型栄養失調と呼んでいて、70歳以上の日本人の4人に1人が、新型栄養失調であるとの報告もあります。

体力づくりに筋肉の増加は欠かせません。爪も骨もカルシウムだけでなく、タンパク質が無いと作れません。

体の隅々まで栄養を運ぶ血管も、ウィルスなどから私たちの体を守ってくれる免疫物質もタンパク質で作られています。

健康や体力づくりのためにも、食が細くなった高齢者は意識してタンパク質を摂取していくことが鍵になるでしょう。

意識して体の不調を見逃さない

「経年劣化」という言葉がありますが、人間の体も経年を起こします。

普通に暮らしているつもりでも、手が痛んだり、足首が痛かったりと、どこかに不調のサインが現れることがあります。

高齢者になると、

  • 病気になっても熱が出にくい
  • 気温の変化を感じにくくなる
  • のどの渇きに気づきにくい

などという傾向も現れてくることがあります。そのために風邪をこじらせて肺炎を起こしたり、熱中症にかかりやすかったりします。

毎日の運動前に自己チェックをすることをお勧めします。体に痛い所は無いかなど、自分の体の不調を意識的に確認しておきましょう。

痛いところがあったり、普段より血圧が高かったり、睡眠不足を感じる時などはお休みした方がいいでしょう。

また、体力づくりの運動をしている最中でも、「いつもより疲れるな」と思うときや、「息苦しい」ときは、切り上げて早めに休んでください。

体の不調を見逃さず適切な運動をすることが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を高めてくれます。


(寄稿文ここまで)

手軽に室内で体力づくりしたいなら良さそう

次のフィットネス記事もおすすめ

高齢者の健康と体力づくりについて知っておくべきことのまとめ

高齢者の方に大切な健康と体力づくりについて見てきました。

健康に長生きするためにも、適切な運動や食事を行って健康や体力の管理をしておくことはとても大切。

高齢者の方はセカンドライフを充実させるためにも、積極的に取り組んでおきたいものですね。

ちなみに、東京都福祉保健局によると、体の「運動機能の維持」には、次の2つのポイントがあるそう。

  1. 効果的な運動を無理のない範囲で行うこと
  2. 痩せすぎたり低栄養にならないように、タンパク質やビタミン、ミネラルを十分に摂取すること

高齢者の方は、この2つのポイントも頭に入れておいて、健康・体力づくりに励んでいくと良さそうですね。

ぴろっきーでした!

スポンサーリンク

シェアする