大殿筋(大臀筋)の作用からストレッチ方法と筋トレにおすすめな鍛え方まで

大殿筋(大臀筋)の作用や構造、そして特徴までを見ていきます。また、ストレッチ方法や筋トレにおすすめな鍛え方についても紹介していきます。

スポンサーリンク

大殿筋(大臀筋)と言えば、お尻の筋肉としても有名で、おそらく一度は耳にしたことがあるかもしれない筋肉。

人体の中では、おそらく最も大切な筋肉の一つだと考えても差し支えないかもしれません。

そんな、大切な下半身の筋肉である大殿筋について、ちょっとだけ知識を深めておきましょう。

大殿筋について、構造から作用、他にも知っておきたいちょっとした特徴、さらにストレッチ方法から筋トレとしておすすめな鍛え方までを紹介してきます。

スポンサーリンク

大殿筋/大臀筋(だいでんきん)とは?

大殿筋(大臀筋)とはお尻の筋肉の一つで、殿部全体を覆うように表層に位置している筋肉。

その深層には中臀筋の一部が位置し、そのまた深部に小臀筋が位置しています。

また、殿部の大部分を占めるとても大きな体積を誇り、人体では「単一の筋肉」として最大にして最重量の筋肉としても有名。

そのため、「お尻の筋肉」と言う場合、この大殿筋のことを指し示す場合が良くあります。

大殿筋は一つの筋肉であるものの、浅部と深部に別れるため、起始部(体の中心寄りの筋肉の端)が二つに別れているのが特徴。

さらに、停止部(起始部とは逆側の端)も、詳しく見ていくと上側と下側の二つに別れています。

ただし、分かれているといっても、主に太ももを後ろに振る際に起こる「股関節伸展」の関節動作と、太ももを回転軸にして脚を付け根から外向きに捻る際に起こる「股関節外旋」には、主力筋(注1)として、大殿筋全体で働くことになります。

一方、股関節の外転(脚を付け根から外側に開く)と股関節の内転(開いた脚を付け根から内側に閉じる)の2つの関節動作にも大臀筋は関与していますが、この場合、股関節外転には大殿筋の上側が、そして股関節内転には大殿筋の下側が主働筋(注2)として働くといった違いを確認出来ます。

ちなみに大殿筋は、英語で”gluteus maximus”と表記され、”gluteus”はギリシャ語に由来し、”maximus”は英語で「最大(の)」を意味します。

  • 注釈1:主力筋とは主働筋の中でも特に中心となって働く筋肉
  • 注釈2:主働筋とは対象となる関節動作に対して中心となって働く筋肉群

大殿筋の作用と役割

大殿筋の主な作用と役割
  • 股関節の伸展(全体)
    • 脚を付け根から後方に振る
  • 股関節の外旋(全体)
    • 太ももを回転軸にして、脚を付け根から外向きに回旋する
  • 股関節の外転(上側)
    • 脚を付け根から外側に開く
  • 股関節の内転(下側)
    • 開いた脚を付け根から内側に閉じる

大殿筋の機能と役割(作用)例

大殿筋の作用は上で紹介した通り様々であり、その作用が関与する場面は多岐に渡ることが分かります。

この大殿筋の作用が、日常生活やスポーツで具体的にどのような場面で影響するのか、いくつか例を見ていきましょう。

大殿筋の作用
  • 日常生活において
    • 歩行時において股関節を伸展させて前進する際
      • 但し、大殿筋は股関節が約15%以上伸展した時に作用されるため、歩行時ではそこまで大きな作用はない(参照:筋肉名称を覚えよう!
    • 椅子から立ち上がる動作
    • 階段を上がって行く時
  • スポーツや運動において
    • ランニングやダッシュ時における股関節伸展動作
    • ジャンプ動作
    • パンチ動作において後ろ足を踏み込んでステップする際
    • スクワット動作

大殿筋に関しては、お尻の表層を覆うようにして位置し、股関節の伸展と外旋に強力に作用する人体最大の単一の筋肉として覚えておきましょう。

大殿筋のまとめ

筋肉データ 大殿筋のまとめ
筋群 股関節伸展筋
支配神経 下殿神経(L5~S2)
起始 浅部:腸骨綾、上後腸骨棘、仙骨、尾骨/深部:腸骨翼の殿筋面、仙結節靭帯
停止 上側:大腿筋膜の外側部で腸脛靭帯に移行/下側:大腿骨の殿筋粗面
筋体積 864㎤
PCSA(注1) 59.6㎤
筋線維長 14.5cm
速筋:遅筋 (%) 47.6:52.4
(注1)「生理学的筋横断面積」の略称。基本的に筋肉が発揮できる力はPCSAに比例する
【参照:プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
スポンサーリンク

大殿筋(大臀筋)の知っ得情報

人体最大の単一筋の具体的な大きさって?

大殿筋は、人体に存在する筋肉の中でも、単一の筋肉としては最大の体積を誇るというのは上で触れた通り。

その大殿筋に関して、最大といっても他の筋肉と比較してどの程度大きいのか、具体的な数字と一緒に、他の単一の筋肉と比較してみましょう。

  1. 大殿筋(864㎤)
  2. 三角筋(792㎤)
  3. 大胸筋(676㎤)
  4. 大内転筋(666㎤)
  5. 上腕三頭筋(620㎤)
  6. 中間広筋(606㎤)
  7. ヒラメ筋(575㎤)
  8. 内側広筋(555㎤)
  9. 広背筋(550㎤)
  10. 外側広筋(514㎤)

上記のリストは、人体にある単一の筋肉を、大きい順にトップ10まで並べたものですが、この中でも大殿筋だけ800㎤台という大きさを誇っており、2位以下の筋肉を大きく引き離しているのが分かります。

このように、人体でとても大きな筋肉だからこそ、大殿筋を鍛えて筋肉量を増やすことは、基礎代謝の向上を考えていく上でもとても有効。

特に、立ち上がる動作を行う場合、股関節と膝関節は連動して動くことが基本であり、両関節の動きには、人体の中でも大きな体積を誇る筋肉が多く関与しているため、立ち上がる動作を通して大臀筋を鍛えることは、基礎代謝の向上に特に効果的だと言えます。

ちなみに、単一の筋肉ではなく、複数の筋肉が集まった複合筋を考えた場合は、太もも前面にある大腿四頭筋が1913㎤で最大となります。

大殿筋は実は体幹の筋肉

体幹と言えば、多くの人にとって思い出されるかもしれないトレーニングがプランク

肘を曲げて前腕を床についた状態で腕立て伏せの体勢を作り、体を真っ直ぐのまま維持するトレーニング方法です。

この体幹トレーニングのプランクを行う際、一般的に言われるのが腹筋や腰周りに効果があるというもの。

そのため、体幹の筋肉と言えば、お腹周りや腰周りの筋肉を指すとイメージされることが多いかと思いますが、実はこの大殿筋も体幹の筋肉として忘れてはいけない重要な筋肉。

体幹とは正しくは、四肢(両腕・両脚)と首から上を除いた全ての部分であり、骨盤やお尻周りというのも含まれます。

そのため、大殿筋も体幹に含まれることになり、体幹の中では最も大きく、片足立ちの時にバランスをとるためにも使われたりするため、体幹を鍛えて「体を安定感を増やす」、「バランス力を向上させる」といった場合、実はこの大殿筋もとても重要な役割を持っているのです。

下半身の瞬発力にとても大切な筋肉

また、大殿筋はジャンプやスタートダッシュ時の蹴りなど、下半身の瞬発力を発揮するためにはとても重要な筋肉。

これは、静止した状態から膝関節と股関節を伸ばして行く際、重力よりも大きな力を地面に対して発揮しなくてはいけないのであって、その際に中心となって働く筋肉の一つが、股関節伸展の主力筋である大殿筋だから。

ジャンプして地面から足を離していく際には、体重の5倍程度の力が必要とされ、それほどの大きな力を、大腿四頭筋ハムストリングといった筋肉と協力して生み出していくことになります。

さらに、瞬発力が求められる短距離走などでは、実は膝関節伸展を司る大腿四頭筋よりも、股関節伸展を司る大殿筋やハムストリングの方が大切。

というのも、短距離走においては、脚が接地している時、膝はほとんど伸びた状態であるため、膝の屈伸動作というのはあまり大きくは行われないから。

そのため、短距離走において前方へ進むための推進力を生み出しているのは、ほとんどが股関節伸展の力であり、その際に主力筋となる大殿筋はとても大切になってくるのです。

(参照:骨・関節・筋肉の構造と動作のしくみ, p.192~201)

立ち上がる動作では上体の角度によって貢献度が変わる

大殿筋は立ち上がる動作(膝や股関節が曲がった状態から伸ばしていく動作)において、重要な貢献をしている筋肉。

そのため、しゃがんでから立ち上がる動作を繰り返すスクワットなどの筋トレ種目では、この大殿筋がメインターゲットとして鍛えられることがほとんどです。

しかし、立ち上がる動作において、常に大殿筋が最も貢献するようになるかと言ったらそうではなかったり。

というのも、実は同じ「立ち上がる動作」であっても、

  • 上体を前傾して立ち上がるのか
  • 上体を直立に近い状態(真っ直ぐにしたまま)で立ち上がるのか

によって、大殿筋優位なのか、大腿四頭筋優位なのかが変わってくるから。

(左上:フロントスクワット/右下:バックスクワット)

基本的には、大殿筋優位か大腿四頭筋優位かは、次のように変わってきます。

  • 上体をほとんど前傾することなく(上体を伸ばしたまま)立ち上がる
  • 上体を前傾して(重心を前に移動させて)立ち上がる
    • 大殿筋が主に使われていく
    • 例)バックスクワット(通常のバーベルスクワット)

このような人体力学的な観点から、上体の角度によって大殿筋を強調して鍛えるのかそうでないのかを理解しておくと、同じ筋トレを行ったとしても、より目的に近づきやすくなります。

ボディメイクにおいては絶対に無視できない存在

そして大殿筋は、ボディメイクを考えた場合でも絶対に無視出来ない重要な筋肉。

ボディメイクでは分かりやすい体前面や上半身以外にも、下半身の後面というのがとても大切になってきます。

自分ではあまり意識出来ないものの、特にお尻というのは「ヒップアップ」と言う言葉に現れているように、第三者から見た場合にはとても目立つ部位であり、後ろ姿の印象に大きく作用する部分。

人によって、引き締まったカッコイイお尻を目指したり、また逆に、ある程度ボリュームがあって、湾曲なラインを描いたお尻を目指すなんてことがあるかと思いますが、どちらにしても、この大殿筋が最も大きく影響してくることになります。

ボディメイクにおいて、お尻を鍛えて後ろ姿の印象を良くしたい場合は、マストで鍛えておくべき大切な筋肉です。

大殿筋のストレッチ

大殿筋の概要から特徴までを見てきましたが、人体の中でもとても大切なこの大殿筋をケアするためにも、効果的なストレッチ方法をいくつか確認していきましょう。

ここでは、大殿筋に効果のあるストレッチを3つ紹介していきます。

大殿筋のストレッチ①

仰向けになった体勢で、膝を曲げた脚を自分の方へ引き寄せていき、お尻の筋肉を伸ばしていくストレッチ方法。

(出典:PSOAS

  1. 仰向けになります
  2. 大殿筋をストレッチしたい方の膝を曲げて自分の方へ寄せていきます
    1. 曲げた膝を両手で抑えて、胸の方へ近づけていきましょう
  3. 大殿筋のストレッチを感じる所で静止します
    1. 30秒程度そのままの姿勢を維持しましょう
  4. その後、反対の脚で同じ動作を繰り返します

大殿筋のストレッチ②

座位の体勢を作り、お尻の外側にある中臀筋や小臀筋と一緒に大臀筋を伸ばしていくストレッチ方法。

  1. 両膝を立てて床に座ります
  2. 大殿筋をストレッチしたい側の足首をもう一方の膝へ引っ掛けます
    1. ストレッチする側の膝は外向きになります
    2. バランスを取るために両手は体の後ろに置いておきましょう
  3. 上半身と立てている膝の距離を近づけていきます
    1. 大殿筋のストレッチを感じるところで静止しましょう
  4. その体勢を30秒維持したら、逆側も繰り返します

大殿筋のストレッチ③

立ち居の姿勢で大殿筋をストレッチする方法。太もも裏のハムストリングも伸ばせるので、股関節伸展に大切な筋肉全体を伸ばしておくためにもおすすめ。

  1. 直立します
  2. 大殿筋をストレッチしたい側の脚を真っ直ぐ前に伸ばします
    1. 手すりや台などの上に足首を置いたり、壁に足裏を押し付けるようにして、その脚を伸ばしておきましょう
  3. 上体を前傾させていき、大殿筋をストレッチさせていきます
    1. ストレッチを感じたところで静止しましょう
  4. その体勢を30秒維持したら、逆側も繰り返します

大殿筋の筋トレにおすすめな鍛え方

大殿筋をケアするために効果的なストレッチ方法を見てきましたが、同時に大殿筋を強化したり大きくするための筋トレ方法も見ていきましょう。

大殿筋に効果的な3つの鍛え方を厳選して紹介していきます。

大殿筋の鍛え方① バーベルスクワット

バーベルスクワットと言えば、下半身強化の代表的な筋トレ種目であり、股関節伸展が起こるため、大臀筋を強烈に刺激していける基本となる鍛え方の一つ。

大臀筋の関与を最大限に引き出すためにも、

  • 動作中にしゃがんで行く際は、上半身が自然と前傾していくようにする
  • つま先をやや外側へ向けて「股関節外旋位」を作って行う
    • 脚を外側へ捻る股関節外旋にも大臀筋が強く関与するため、外旋位にするとその分大臀筋の働きが増す

という2点を抑えながら行っていくのがおすすめ。

  1. 順手でバーベルを握ったら、背中上部へバーを置き立ちます
    1. 肩に担ぐのではなく、僧帽筋上部に置きます
    2. 両足は肩幅より少し広めて開いておきましょう
  2. 大殿筋を意識しながら膝を曲げ、太ももが床と平行になるまで体を下ろします
    1. 頭は上げて胸を高く保ち、おしりは引いておきましょう
  3. その後、大殿筋を収縮しながら立ち上がり、同じ動作を繰り返していきます

大殿筋の鍛え方② ヒップリフト

ヒップリフトは、基本的なやり方であれば自宅でも出来、大臀筋を集中して鍛えていけるおすすめな鍛え方。

床に仰向けになれるスペースや場所であればすぐにでも始められるため、気軽にテレビを見ながら行ってみるなんていうのも可能です。

  1. 膝を90度に曲げて仰向けになります
  2. 足は腰幅に開いて床につけます
  3. 腰の部分が床に対して平らになるように腹筋に力を入れて骨盤を正します
    1. トレーニング中は骨盤の位置は保つようにしましょう
  4. 腰を曲げることなく、両足でお尻をできるだけ高く上げます
    1. この時、大殿筋の収縮を感じるようにしてください
  5. 2秒保ってから、ゆっくりと元に戻り繰り返します

ちなみに、膝の曲げ方を深くすれば大臀筋に効きやすく、浅くするとハムストリングに効かせやすくなります。

大殿筋の鍛え方③ ダンベルランジ

ダンベルさえあれば自宅であっても大殿筋へしっかりと効かせていけ、大殿筋の鍛え方としておすすめなのが、ダンベルランジという筋トレ種目。

股関節伸展の動作はもちろんのこと、両足を前後に広げて行うことでバランスを取る必要が出てくることになり、その際、股関節外旋の力も働いてきます。

その結果、「股関節伸展」と「股関節外旋」の二つに大殿筋が主力筋として力を発揮することになり、大殿筋の鍛え方としてはとても効果が高いトレーニングになります。

  1. 両手にダンベルを握り、背筋を伸ばして両足を肩幅に開いて直立します
    1. 膝は軽く曲げておくと良いでしょう
    2. 胴体はしっかりと真っ直ぐにして引き締めておきます
  2. 片足を1.5歩分程度前方へ出していき、同時に腰を落としていきます
    1. バランスが崩れないようにしましょう
  3. その後、体を起こしてスタートのポジションへ戻っていきます
    1. 体を起こして行く時は、前方の脚のカカトに力を入れるようにしましょう
  4. 片側をまずは繰り返していき、その後逆側も行います

ちなみに、もしもダンベルがない場合は、ダンベルなしでランジを行ってみましょう。

臀筋を鍛えて体全体にアプローチだって。

次の筋肉記事も一緒にどうぞ!

大殿筋(大臀筋)の作用からストレッチ方法と筋トレにおすすめな鍛え方までのまとめ

人体でも最も大きな単一の筋肉であり、とても大切な大殿筋について、構造や作用、特徴、さらにはストレッチ方法や、筋トレにおすすめな鍛え方までを紹介してきました。

大殿筋のことが気になったら、参考にしてみてください!

ぴろっきーでした!

スポンサーリンク

シェアする