腕立て伏せで背筋(特に広背筋)に効果を出せるのかを議論してみる。やり方次第で可能!

腕立て伏せで背筋(特に広背筋)を鍛えていくことは可能なのでしょうか?この点について、腕立て伏せや広背筋を解剖学的に因数分解して議論してみようと思います。

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腕立て伏せで背筋(特に広背筋)を鍛えることは出来るのか?

この疑問を抱えながら筋トレしている人は、それなりにいるんじゃないかと思います。

背筋をどの筋肉として定義するかにもよりますが、「基本的に」腕立て伏せで背筋を刺激することは残念ながら難しいというが正解。

しかし、ここであえて「基本的に」と言ったのは、実は背筋の定義によっては、動作中に鍛えられるものもあり、さらに、腕立て伏せのやり方次第では、背筋として多くの人がイメージする「広背筋」を使っていくことも可能になってくるから。

今回は、腕立て伏せが背筋に効果があるのかどうかについて、まずは、腕立て伏せの動きを解剖学的に見ながら議論していき、その後に広背筋へ多少なりとも効果のある腕立て伏せの応用したやり方を考えていこうと思います。

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腕立て伏せで背筋は鍛えられるのか?動作を解剖学的に因数分解しながら確認してみる

腕立て伏せの動きにはどのような筋肉が関与するかを確認するに当たり、まず最も大切なのが、

  • 腕立て伏せの動きを分解してみる
  • そして、その動作に含まれる関節の動きを確認する

という2つのこと。

筋肉と言う際に意味することの多い骨格筋は、表情筋以外は基本的に「関節を動かす」のが主たる役目。

そのため、どんな筋肉が作用するかを見るときは、負荷に抵抗して動く(注)それぞれの関節動作の中で、どの筋肉が収縮するかを確認していくことになります。

(注釈)負荷に抵抗して動く関節動作とは、腕立て伏せで言うと、「沈めた体を上げていく時に働く」関節の動き。この時、負荷が掛かる方向とは逆方向に抵抗しながら関節は動く。

一方、体を下げていく場合は負荷が掛かる方向とは同じ方向に関節は動いていく。

まずは腕立て伏せの動作を解剖してみる

そこで、まず腕立て伏せの動作を確認していくと、基本的なやり方は次の通り。

  1. 両手を肩幅より広くとって床に置き、両脚は伸ばしてつま先で支える
    1. この時、顔は下を向いている状態
    2. 全身は一本の棒のように姿勢を真っ直ぐにする
  2. ゆっくりと肘を曲げて体を下ろしていく
    1. 動作中も常に体を真っ直ぐに保つ
    2. 肩甲骨は自然と寄せていく
  3. その後、肘を伸ばしながらゆっくりと体を「押し」上げていく
    1. 肩甲骨は自然と外に開いていく

腕立て伏せに含まれる「負荷に抵抗する関節動作」とは?

上でみた腕立て伏せの動きを解剖していくと、次の「負荷に抵抗する関節動作」が含まれていることが分かります。

  • 肩関節の水平内転
    • 肩から腕を水平面で前方に振る動作
    • 腕立て伏せの中では実際に腕を振るわけではないが、体を上に上げていく際、肩関節は腕を水平面で前方に動かすような力を出すことになる
  • 肘関節の伸展
    • 体を上げる際に肘を伸ばす動作
  • 肩甲骨の外転
    • 体を上げる際に肩甲骨が開いていく動作

そして次に確認したいのが、肘関節伸展、肩関節水平内転、肩甲骨外転のそれぞれに関わる筋肉。

そちらは以下の通り(※各関節動作に関する筋肉は貢献度順)。

  • 肩関節水平内転
    • 大胸筋
    • 三角筋(前部)
    • 上腕二頭筋
  • 肘関節伸展
  • 肩甲骨外転

この中でも特に、腕立て伏せで体を持ち上げる時に行う「押す」動作に関わってくるのが、大胸筋・三角筋(前部)・上腕三頭筋の3つ。

その他の筋肉はあくまでも補助的に働いていく程度なため、そこまで刺激されることはなく、腕立て伏せえは、大胸筋、三頭筋、上腕三頭筋の3つが、基本的には鍛えられていくことになります。

そして、腕立て伏せのどの関節動作にも、背筋、特に最も有名な広背筋は、含まれていないことが確認出来ます。

但し、背筋に含まれる脊柱起立筋の働きは大切

但し、腕立て伏せを行っていく中では、全身を常に棒のように一直線に維持しておく必要が出てきます。

すると、ここで大切になってくるのが体幹の筋肉。

なかでも、お腹・腰回にある腹直筋、腹斜筋、そして脊柱起立筋は、腕立て伏せの動作中、一定レベルで緊張していることになる。

(上は脊柱起立筋)

脊柱起立筋は背筋の一つで、重力に抵抗するあらゆる動きで使われる「抗重力筋(こうじゅうりょくきん)」として、腕立て伏せの動作中は、常に背中を真っ直ぐに保つように働き、筋繊維が同じ長さを保ちながら伸びも縮みもしないで力を出す、アイソメトリックの状態で力を出し続けている。

このように確認すると、仮りに「背筋」を「脊柱起立筋」であると考えているのであれば、確かに通常の腕立て伏せでも「背筋」を多少なりとも鍛えることが出来ていると言えなくもありません。

腕立て伏せでは背筋(特に広背筋)に効果はない

腕立て伏せを解剖学的に因数分解して見てきたわけですが、基本的には、腕立て伏せに含まれる「負荷に抵抗する関節動作」の中で主働筋として働く筋肉の中には、一般的に背筋としてイメージされる広背筋は含まれていません。

そのため、「腕立て伏せで背筋が鍛えられるかどうか?」と考えた場合、基本的にはその答えは「No」。

しかし仮に、「背筋」を「脊柱起立筋」とみなしているのであれば、体幹を維持するための姿勢維持筋として働くことになるため、動作の中で多少なりとも刺激することは出来ることになると言えます。

ここでのポイント
  • 背筋を脊柱起立筋と見なせば通常の腕立て伏せでも多少は刺激出来る
  • 背筋を広背筋と見なせば通常の腕立て伏せでは鍛えられない

腕立て伏せでは鍛えられない?広背筋を分解してみると

では、その背筋として最もメジャーな広背筋を、どうにか腕立て伏せを工夫して鍛えていくことは出来ないのでしょうか?

広背筋の作用を確認しながら、その可能性を次に探っていきたいと思います。

広背筋とは?

広背筋は、背中の下部から脇の下に掛けて広がるように存在する筋肉。

背中にある筋肉の中では最も大きく広い筋肉で、この筋肉が肥大することで、いわゆる背筋を強化した際にイメージされる「逆三角形」の体型を作っていくことが出来ます。

広背筋の主な働きとは?

広背筋の主な働きとは次の通り。

この様に、広背筋が関与する筋トレは「引く」動作が中心であり、また広背筋が持つ関節動作の中には、基本的な腕立て伏せに含まれる関節動作は存在していないことが確認出来ます。

ここでポイントになるのがダンベルプルオーバー

それでは、背筋を代表する広背筋は、腕立て伏せのように「押す」動作を主体とする筋トレ種目で鍛えていくことは絶対に不可能なのでしょうか?

ここでヒントとなるのが、ダンベルプルオーバーという大胸筋を鍛えるためによく利用されながらも、広背筋も一緒に鍛えることが出来るとされる筋トレ種目。

ダンベルプルオーバーは、

  1. トレーニングベンチに仰向けになり
  2. 仰向けになった頭の後方まで伸ばした両腕を下げていき
  3. そのダンベルを胸の上まで振り上げるように動かしていく

といった動作を行う筋トレ。

この動きの中では、「腕を頭上まで振り下ろした深い屈曲位」から胸の上まで肩関節の伸展動作を行うことで、肩関節伸展では本来関与するはずのない大胸筋が中心となって働くことになり、同時に肩関節の伸展に元々関与する広背筋も、サブターゲットとして働くことになる。

つまり、「押す」動作が主体となる腕立て伏せでも、このダンベルプルオーバーの動きを応用して行っていけば、広背筋を刺激することが出来るという考えが成り立ちます。

ここでのポイント
  • 腕を頭上まで伸ばした深い屈曲位から肩関節伸展を行えば広背筋も鍛えられる
  • 深い肩関節の屈曲位を作って肩関節伸展が行える腕立て伏せであれば広背筋も刺激出来る

肩関節伸展が含まれる腕立て伏せで背筋に効果を出す!

そこで紹介したいのが、ダンベルプルオーバーをうつ伏せの状態にして行うような、腕立て伏せのバリエーションである、スーパーマンプッシュアップ。

このスーパーマンプッシュアップであれば、深い肩関節屈曲の形がスタートのポジションとなり、体を床から上げていく際に肩関節伸展が含まれていくため、腕立て伏せなのに広背筋を刺激していくことが可能。

もちろん、ダンベルプルーバーのように、大胸筋も鍛えていくことだって出来ます。

背筋も鍛えるスーパーマンプッシュアップのやり方

そのスーパーマンプッシュアップのやり方は以下の通り。

  1. 足を伸ばしてうつ伏せになり、腕は頭より前に伸ばしておきます
    1. つま先は立てて、手のひらは床にべったりとつけます
    2. 足は腰幅程度に開き、手は肩幅に広げておきましょう
    3. 腕を頭より前に伸ばしておくことで深い肩関節の屈曲位になります
  2. つま先と手のひらで床を押し、胴体と太ももを床から持ち上げます
    1. この時、腹筋に力を入れて出来るだけ高く体を上げていきましょう
    2. 体を上げる際に肩関節が伸展することになって広背筋が関与します
  3. 体を床に下ろして、繰り返していきます

スーパーマンプッシュアップの効果と特徴

実際に試して見ると、スーパーマンプッシュアップは通常の腕立て伏せとは違った動きを行うため、結構難易度の高い筋トレ種目だというのが分かるかと思います。

体を上げていく際には肩関節の伸展以外にも、腹筋に思いきり力を入れる必要があり、腕立て伏せの一種だけど、実際の効果は腹筋の筋トレと考えることも出来そうなトレーニング。

そのため、肩関節伸展に関わる筋肉以外にも、腹筋が弱いと実践するのは難しく、見た目によらず上級者向けの筋トレと言って良いかも。

また、通常の腕立て伏せとは違い、肘関節の伸展動作がなくなるため、肘関節伸展の主動筋である上腕三頭全体の関与は減り、あくまでも肩関節伸展に関与する上腕三頭筋の長頭部分に刺激が集中していくようになる。

他にも、肩前面の三角筋(前部)への刺激も少なくなり、動作の中で肩甲骨を開いていく肩甲骨外転もなくなります。

その代わり、広背筋や大円筋、また三角筋後部といった、上半身背面に存在する3つの筋肉が、動作の中で関与していくことになるのが特徴となります。

ここでのポイント
  • スーパーマンプッシュアップは見た目によらず難易度が高い
  • 肩関節の伸展動作だけでなく腹筋が強くないと難しい
  • 肘関節伸展は含まれないため、上腕三頭筋は長頭に刺激が集中する
  • 三角筋(前部)への負荷も減る
  • 肩甲骨外転動作は含まれない
  • 代わりに広背筋・大円筋・三角筋後部が関与する

腕立て伏せで広背筋は鍛えられるかの結論

見てきたように、腕立て伏せでは、通常のやり方だと広背筋を鍛えることは出来ないものの、両手の位置を工夫することで、広背筋を関与させていくことが可能であるということが分かります。

腕立て伏せであっても、「深い肩関節の屈曲位」を作り、そこから「肩関節の伸展」を行っていくスーパーマンプッシュアップであれば、ダンベルプルオーバーと同じように、大胸筋も鍛えながら広背筋も刺激しくことが可能。

ただし、このスーパーマンプッシュアップ、あくまでもその主役は大胸筋と腹筋になるので、広背筋には刺激が加わっても、大きく筋肥大させるような効果はほとんどないという点については理解しておき、腕立て伏せでも背筋(特に広背筋)は鍛えられるという小ネタ程度に覚えておくのが良いかと思います。

名前が分かりやすい。

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腕立て伏せで背筋(特に広背筋)に効果を出せるのかを議論してみる。やり方次第で可能!のまとめ

腕立て伏せは、背筋の中でもメジャーな広背筋にも効果があるのかどうかについて議論を進め、効果を出すための腕立て伏せの応用版を紹介してきました。

腕立て伏せでもスーパーマンプッシュアップのようなやり方であれば、広背筋を刺激することは可能。

ただし、広背筋を肥大させるまでの強い効果はないのと、難易度が高い腕立て伏せのバリエーションであるのは覚えておきましょう。

もしも通常のスーパーマンプッシュアップが難しければ、膝をついて行うことで、上半身に掛かる体重が減り、難易度を下げて行っていくことが出来るので、試してみましょう。

ぴろっきーでした!

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