腹直筋とは?働きから筋トレにおすすめな鍛え方とストレッチ方法まで

腹直筋の働きから特徴までを見ていきます。また、ストレッチ方法や筋トレにおすすめな鍛え方についても紹介していきます。

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腹直筋と言えば、いわゆる腹筋といった場合に連想されることの多い、最もメジャーな筋肉の一つ。

名前は聞いたことがなくても、ほとんどの人が知っている筋肉です。

また、多くの動作に関与してくることになるため、人間が身体活動を行う上でも、とても重要な筋肉であると言えるもの。

そんな腹直筋について、概要から働き、他にも知っておきたいちょっとした特徴、さらにストレッチ方法から筋トレとしておすすめな鍛え方までを紹介してきます。

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腹直筋(ふくちょくきん)とは?

腹直筋とは、いわゆるお腹前面に位置するシックスパックの筋肉のことであり、肋骨の真ん中やや下あたりから骨盤の恥骨部分まで、縦に平たく長く腹部前面を覆っている筋肉。

(筋腹を縦に分断する溝が腱画で左右に分断する溝が白線)

3~4個の「腱画(けんかく)」によって、縦に上下4~5段に分断された多腹筋であり、さらに左右が中央の「白線(はくせん)」によって別れているのが特徴。

また、一般的に「腹筋」という言葉で同義語的に連想されることが多いため、名前を知らなかったとしても、ほとんどの人がその存在を認識している筋肉の一つでもあります。(※腹筋をお腹周りの筋肉として定義した場合は、腹筋の一つとして考えるのが適切→腹筋の構造を参照)

この腹直筋は収縮することによって、脊柱が前方へ曲がっていくことになるため、主に、背中を丸めて上体を前方へ曲げる「体幹屈曲(前屈)」の主力筋として働きます。

同時に、腹直筋のすぐ深層はいわゆる腹腔と呼ばれる空洞になっており、そこには多くの内臓が入っているため、内臓を保護するという役割も担っています。

そして、腹圧を高めて体幹を安定させたり、排便や咳などの際にも補助するように働き、さらに、上体の姿勢を維持する働きなども持っていたりするため、普段の生活からスポーツ活動にいたるまで、様々な場面において非常に大切になってくる筋肉です。

また、腹直筋の上部は肋骨につながっており、胸郭(胸部の外郭をつくるかご状の骨格)を引き下げる働きを持つため、息を吐く際に胸郭が下がる動きでは、補助的に使われていくことにもなります。

この腹直筋は、英語では”rectus abdominis”と表記され、「真っ直ぐ、直線の」を意味する”rectus”と、「腹、内臓」を意味する”abdomen”の属語である「腹部」を意味する”abdominis”から構成された単語になります。

腹直筋の作用と働き

腹直筋の主な作用と働き
  • 体幹の屈曲
    • 背を丸めて上体を前方へ曲げる
  • 腹腔内圧の拡大
    • 腹腔内の圧力を高める
  • 胸郭前壁の引き下げ
    • 息を吐く時などに胸郭を引き下げる

腹直筋の機能と役割(作用)例

腹直筋の働きは上で紹介した通り、関与する場面が多くあることが分かります。

この腹直筋の働きが、日常生活やスポーツで具体的にどのような場面で影響するのか、いくつか例を挙げて見ていきましょう。

腹直筋の作用
  • 日常生活において
    • 椅子から立ち上がる際の開始動作
    • ベッドで仰向けの体勢から体を起こす動作
    • せきやくしゃみをする際
    • 呼吸や発声時
    • 上体を起こした姿勢を維持する際
  • スポーツや運動において
    • お腹に力を入れて相手に打撃を加える
    • 腹筋を引き締めてボールを蹴る
    • 腹圧を高めてバーベルを上げる など
    • ほぼ全てのスポーツ動作で関与している

腹直筋に関しては、縦に長くお腹前面を覆っている筋肉で、日常生活からスポーツまで多くの場面に関与してくるとても大切な筋肉として覚えておきましょう。

腹直筋のまとめ

筋肉データ 腹直筋のまとめ
筋群 体幹屈曲筋
支配神経 肋間神経(胸腹神経)(T5~T12)
起始 恥骨個都合、恥骨綾、恥骨結節の下部
停止 第5~7肋軟骨の外面、剣状突起、肋剣靭帯
筋体積 170㎤
PCSA(注1) 5.7㎤
筋線維長 29.9cm
速筋:遅筋 (%) 53.9:46.1
(注1)「生理学的筋横断面積」の略称。基本的に筋肉が発揮できる力はPCSAに比例する
【参照:プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
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腹直筋の知っ得情報

面積は広いけど大きくはない筋肉

腹直筋は、腹部の前面を全体的に覆っている筋肉。

そのため、パッと見としてはそれなりに大きな筋肉であるという印象を持つかもしれません。

しかし、見かけほどのボリュームはない筋肉でもあったり。

例えば、腹直筋と力こぶの筋肉である上腕二頭筋を比べた場合、表面積的には腹直筋の方が広いため、腹直筋の方が大きそうに感じるかもしれない。

ただ実際は、上腕二頭筋が366㎤の筋体積を誇るのに対して、腹直筋は170㎤。

また、脇の下に位置して、肩甲骨から上腕骨まで伸びている大円筋。

(上は大円筋)

この大円筋は、その下にある広背筋と比較して小さな筋肉と表現されることがよくありますが、面積は小さいものの体積は231㎤もあるとされます。

このように見ていくと、腹直筋は、腹部にあるその他の筋肉(外腹斜筋/70㎤、内腹斜筋/73㎤、腹横筋/不明)よりは大きな筋体積を持っているものの、体全体の中では、見かけほどボリュームがない、平べったい筋肉であるというのが分かります。

腹直筋は力強い動作を生み出すためにも大切な筋肉

格闘技などを行っていると、「腹筋は力強い打撃を生み出すために大切」といったことを耳にすることがあるかもしれません。

腹直筋は、実は四肢を動かすなどの身体動作全般において重要で、力強い力を生み出すためにも大切な、いわゆる「体幹」に含まれる部位。

体幹は、

脚など下半身で発揮された大きな力やエネルギーを肩や腕など上半身に伝達する役割を担っていることから、力強いスポーツ動作を生み出すためにも必要不可欠な部位

(引用:運動に関わる筋肉のしくみ, p.144)

であり、その中でも腹直筋は、腹腔(お腹まわり)を囲む「パワーハウス(その他の腹筋群と横隔膜が含まれる)」の筋肉の一つ。

このパワーハウスがしっかりとしていることで、

手足を力強く、素早く、正確に動かせるので、あらゆる競技において高いパフォーマンスを発揮できる

(引用:スポーツのための体幹トレーニング練習メニュー240, p.14)

ということになり、そのパワーハウスの中で大きな体積を誇る腹直筋は、とても重要な筋肉であると言えます。

さらに、上半身の動きの基盤にもなる腰椎の可動域を確認した場合、

  • 屈曲→50度
    • 腹直筋が主力筋
  • 伸展→15度
    • 脊柱起立筋が主力筋
  • 側屈→20度
    • 腹斜筋群が主力筋
  • 回旋→5度
    • 腹斜筋群が主力筋

(参照:筋肉と関節のしくみがわかる事典, p.118)

というように、腹直筋が主力筋として働く屈曲動作の可動域が最も広く、ダイナミックに上体を動かして力を生み出すためにも、非常に重要な筋肉であるというのが理解できます。

また、腹直筋に力を入れることで。腹圧を高めて体幹をより安定させることが出来るという点を考えた場合も、力強い四肢の動作を行う上での腹直筋の重要な働きが分かります。

腹直筋とシックスパック

腹筋の筋トレを頑張って、腹部をいわゆるシックスパックに割ることを目指している人も多いかと思います。

ところが、ここまで腹直筋の話を読んで来ればおそらく分かるかと思いますが、腹直筋はもともと、腱画と白線という腱組織によって、いくつかの筋腹(シックスパックでいう「パック」のこと)に最初から別れている構造になっています。

そのため、シックスパックが見えないのは、単純に腹直筋の上に、腹直筋の形が見えないほどに脂肪が乗ってしまっているというのが、大抵の場合の原因。

よって、シックスパックを手に入れようと様々な鍛え方やトレーニング種目に励む以前の問題として、まずは全身の余分な体脂肪を無くしていくことが大切です(※基本的には部分痩せは実現困難)

その上で、腹直筋を筋トレで肥大させていき、腱画と白線の「溝」を深くしていけば、よりくっきりと割れたシックスパックを、完成させていくことが可能になります。

腱画と白線の形状は生まれつきによるところが大きい

また、シックスパックを手に入れようとトレーニングに励んでいると、まれに「8パック」の腹筋を持った筋肉画像に出くわすことがあります。

そして、中にはシックスパックではなく、エイトパックを目指してさらに激しい腹筋のトレーニングに取り組むという人もいるかもしれません。

しかし実は、腱画や白線の形状や幅というのは、遺伝によって決められてくつため、腹直筋を縦に分断する腱画の数も変わってくることになり、人によって「4パック~8パック」と様々(参照:筋肉地図, p.84)

(上は縦割れのアブクラックス)

また、白線もその幅が人によってはまるで違ってくるため、腹筋を縦に割るいわゆるアブクラックスも、簡単に手に入れられる人もいれば、どんなに頑張っても手に入れられない人もいます。

そのため、腹筋を鍛える上では、理想とする人の腹筋に憧れて目標にするのは良いですが、あくまでも自分の腹筋は自分オンリーワンのものであるという意識で、しっかりと受け入れて鍛えてあげることが大切です。

腹直筋の鍛え方について知っておきたいこと

また、腹直筋に関して知っておきたいこととして、その鍛え方についての話。

腹直筋は体幹屈曲の主力筋であるため、通常イメージされる鍛え方というのが、クランチシットアップといった、体幹屈曲の動作を繰り返していく、いわゆる腹筋運動を行うというもの。

しかし腹直筋は、骨盤前面に繋がっているため骨盤の傾きをコントロールするように働き、

  • 腹直筋によって骨盤が後傾することで腰が真っ直ぐになり、
  • 脊柱起立筋や股関節の筋肉が、より効率的に脊柱や股関節を動かせるようになる

(参照:骨・関節・筋肉の構造と動作のしくみ, p.150)

といった特徴を持っている。

さらに、背中の脊柱起立筋が体幹を伸展(反らす)する方向へ力を出すのに対して、それに拮抗するように体幹を屈曲(曲げる)する方向へ力を出してバランスを取るのが腹直筋であり、姿勢を維持する際にも関与してくる。

このようなことから腹直筋を鍛える上では、体幹屈曲動作が含まれる筋トレ種目以外に、バーベルスクワットなどの、体幹屈曲を含まない多くの筋トレにも関与してくることになります。

そのため、一つの筋トレメニューの中で、先に腹直筋を鍛えるために体幹屈曲を含む筋トレ種目に取り組んでしまうと、腹筋が疲労することで、それ以外の筋トレで十分に力を発揮出来なくなってしまうことがあります。

基本的には、腹直筋を集中して鍛える体幹屈曲の筋トレ種目は、筋トレメニューの最後の方で行っていくようにするのがポイントです。

腹直筋のストレッチ

腹直筋の概要から特徴まで見てきましたが、腹直筋は人体の中でもとても大切な筋肉の一つであるのが理解出来たかと思います。

そこで、この大切な腹直筋をケアするためにも、ストレッチ方法について見ていきましょう。

腹直筋を伸ばすための二つのストレッチ方法を紹介していきます。

腹直筋のストレッチ①

これはヨガではコブラのポーズと呼ばれるストレッチ方法。

体幹を後ろへ反らしていくことで、その逆の屈曲動作に関与する腹直筋を伸ばしていきます。

  1. うつ伏せになります
    1. 両足は肩幅程度に広げて後ろへ伸ばしておきます
  2. 両手を床につけて肘を伸ばしながら上体を反るように持ち上げていきます
    1. 反りすぎると腰に負担を掛けるので注意しましょう
  3. 腹直筋のストレッチを感じるところでキープします
    1. 無理のない程度で数秒〜数十秒維持しましょう

腹直筋のストレッチ②

これはバランスボールを利用して脊柱を反らしていき、お腹前面にある腹直筋を伸ばしていくストレッチ方法。

  1. バランスボールの上に仰向けになります
    1. 両足は肩幅程度に開き、地面につけてバランスを取ります
  2. 球状の表面に沿って、体を反らしていきます
    1. 両手はバンザイをするような感じで頭上へ伸ばしていきましょう
    2. お尻から上背部までがボールの表面につく感じです
  3. 腹直筋のストレッチを感じたままその体勢をキープします
    1. 無理のない程度で数秒〜数十秒維持しましょう

腹直筋の鍛え方におすすめなトレーニング種目

腹直筋のケアのためにストレッチ方法を見てきましたが、最後に、腹直筋を強化するための鍛え方を見ていきます。

鍛え方の中でも、基本となる体幹屈曲の動作が含まれるトレーニング種目を、3つ紹介していきます。

腹直筋の鍛え方① クランチ

クランチといえば、腹筋運動として多くの人がイメージするであろう腹直筋の筋トレ種目。

仰向けになった体勢から上体を丸めるように起こしていくことで、体幹屈曲を実現し、腹直筋を鍛えていくトレーニング方法です。

ただしクランチでは、上体を起こすといっても、腰まで完全に床から離していくわけではないため、腹直筋の中でも主に上部を中心にして鍛えていくことになります。

  1. 仰向けの状態になり、両膝を曲げておきます
    1. 指先を耳の横辺りや頭の後ろに当てておきましょう
    2. 首は軽く曲げて、頭部を床から浮かせましょう
    3. 両足は床から離したり、椅子などの上に置いて行っても構いません
  2. 腹筋の力に集中して、上体を床から持ち上げていきます
    1. 床から肩甲骨が離れるまでを目安に上体を丸めていきます(下背部は床から離れないようにしましょう)。
    2. 上体を曲げていく際には、みぞおちを中心に頭部から背中を丸めるようにしていきましょう
  3. その後、ゆっくりと元のポジションへ戻っていきます

腹直筋の鍛え方② リバースクランチ

リバースクランチは、通常のクランチとは逆側から体幹屈曲を始める筋トレ種目。

つまり、腰を床から上げ始め、体幹を曲げていくことになります。

その結果、通常のクランチとは逆に、腹直筋の下側を中心に負荷が掛かりやすいといった特徴があるため、クランチと合わせて行っていくと、腹直筋を満遍なく鍛えることになり、良いかと思います。

  1. 床に仰向けになります
    1. 両腕は体の横に自然と伸ばしておき、バランスをとりましょう
  2. 脚を上げて膝を曲げていきます
    1. 膝の角度はおよそ90度に曲げておきましょう
  3. 腰を浮かせて体幹を丸めるようにしながら両膝を胸の方へ動かします
    1. 腹筋の力を使って動かしていきましょう
    2. 体幹を曲げきったところで1~2秒腹筋を収縮させて静止しましょう
  4. その後、腹筋に力を入れたままゆっくりと戻ります

腹直筋の鍛え方③ バイシクルクランチ

バイシクルクランチは、仰向けの体勢になり、体幹の動きで自転車を漕ぐような動作を繰り返していくトレーニング方法。

腹直筋だけでなく、お腹サイドに位置する腹斜筋も鍛えていけるのが特徴。

また、通常のクランチと比較して、腹直筋の活性度はおよそ2.5倍にもなるといった実験結果も出ているため、腹直筋の鍛え方としてもおすすめな筋トレ種目と言えます(参照→腹筋の鍛え方TIPS|正しい腹筋の鍛え方豆知識と筋トレ方法

  1. 床に仰向けに寝て脚を90度に曲げて持ち上げ、腹筋を使って頭と肩を浮かせます
    1. 手は耳の後ろに軽く添えておきましょう
  2. 左脚をまっすぐ伸ばしていき、脇腹を捻って左肘と右膝を近づけます
  3. 次に、逆側でも同じ動きを行い、自転車を漕ぐように交互に繰り返していきます

ロナウドのやつね。

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腹直筋とは?働きから筋トレにおすすめな鍛え方とストレッチ方法までのまとめ

人体の中でもとても重要な働きや役割を持つ、腹直筋について見てきました。

腹直筋はシックスパックを手に入れるためにも大切で、様々なスポーツ動作においても重要。

そんな腹直筋について理解を深め、必要ならストレッチや筋トレを取り入れていきましょう!

ぴろっきーでした!

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