前鋸筋とは?鍛え方に有効な筋トレやトレーニングとストレッチまで|作用を理解してケアしていこう!

前鋸筋について知っていますか?あまり名前が挙がることがない筋肉ながら、作用を見ると大事な筋肉であることが分かります。鍛え方におすすめな筋トレやトレーニング、他にもストレッチまで確認していきましょう。

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前鋸筋について知っていますか?

前鋸筋は知っている人は知っているけど、一般的にはそこまで有名でない上半身に位置する筋肉

しかし、その作用が影響する範囲は結構広く、前鋸筋について理解しておくことは何かと便利になってくるはず。

今回は、あまり良く知らないかもしれないけど、結構大切な前鋸筋について、その概要から特徴、さらには鍛え方におすすめな筋トレ・トレーニング方法や、ストレッチ方法までを紹介していきます。

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前鋸筋(ぜんきょきん)とは?

前鋸筋とは、上半身に存在する筋肉の一つ。その名前「鋸(ノコギリ)」が示す通り、ノコギリの歯の形状に似ているのが特徴。

肋骨の外側面(第1~8又は9)から、体の後ろ側から見た場合の肩甲骨の前面(又は肩甲骨の内側)に掛けて広がる筋肉。

また、前鋸筋は上部と下部の繊維に分かれ、下部の一部だけは表層にあるのに対して、それ以外の大部分は小胸筋や大胸筋に覆われている筋肉。つまり、脇下深層にあるインナーマッスルとしても考えられる筋肉になります。

(前鋸筋の下部繊維の一部だけは表層にあり、表からでも確認出来る)

肩甲骨の外転動作においては最も貢献度が高い主力筋であり、小胸筋と共に肩甲骨を前に押し出す(前進させる/前方へ送り出す)働きを主に持っていて、この動作において前鋸筋は、上部・下部と全ての繊維を使っていくことになります。

そのため、前方へ手を伸ばして何かへリーチさせたり、前方にある遠くのものを取ろうとして手を伸ばす動作などにおいては、大切な筋肉になってきます。

他にも、上部繊維だけを使って、肩甲骨を外周りに回転させる下方回旋の動作に作用したり、また下部繊維だけを使って、肩甲骨を内回りに回転させる上方回旋と、肋骨を挙上(肩甲骨が固定されている場合)する動作に作用したりしている筋肉でもあります。

ちなみに、あまり触れられることはないものの、この「肩甲骨が固定されている場合に肋骨を挙上」する作用により、深く息を吸う時に肋骨を持ち上げて、呼吸をサポートする呼気筋」としての役割も持っています(参照:筋肉のしくみ・はたらき事典

また、前鋸筋は英語にすると、”serratus anterior”となり、”serra”はラテン語で「のこぎり」を表し、”anterior”は英語で「前の」を意味するものになります。

前鋸筋の役割

(後方から見ると、前鋸筋が肩甲骨の前面(内側)に入り込んでいるのが分かる)

前鋸筋の主な役割
  • 肩甲骨の外転/前進(筋繊維全体)
    • 肩甲骨を外に開く。肩を前に出す
  • 肩甲骨の下方回旋(上部繊維)
    • 肩甲骨を外回りに回転させる。通常、肩関節を大きく内転する動きに伴う
  • 肩甲骨の上方回旋(下部繊維)
    • 肩甲骨を内回りに回転させる。通常、肩関節を大きく外転する動きに伴う
  • 肋骨の挙上(肩甲骨が固定されている場合)(下部繊維)
    • 肋骨を持ち上げる。胸郭が拡がることで呼吸がサポートされることにもなる

前鋸筋の機能と役割(作用)例

前鋸筋は、上で触れたように肩甲骨を前に送り出したり、それ以外にも肩甲骨を外回り・内回り、また肋骨を挙上させるような働きがあることが分かりました。

この前鋸筋の作用を、日常生活やスポーツなどで考える場合、具体的にどんな場面で大きな役割を果たしているのでしょうか?

前鋸筋が作用して働く、具体的な場面の例をいくつか挙げてみましょう。

腹横筋の作用
  • 日常生活において
    • 前方の手の届くか届かないぐらいのところにあるテレビのリモコンへ手を伸ばす
    • 足を動かせない場面において、かろうじて届く物に手を伸ばす
    • 息を深く吸って深呼吸をする
  • スポーツや運動において
    • ボクシングのパンチなどで伸びのあるパンチを素早く繰り出していく
    • 砲丸投げの投てき
    • ウェイトリフティングで頭上にウェイトを挙上する

前鋸筋に関しては、肋骨に広がるノコギリのような形をした脇下深層のインナーマッスルで、主に肩甲骨を前に押し出す働きを持つ筋肉として覚えておきましょう。

前鋸筋のまとめ

筋肉データ 前鋸筋のまとめ
筋群 肩甲骨外転筋
支配神経 長胸神経(C5~C7)
起始 第1〜第8(または第9)肋骨の外側面中央部
停止 肩甲骨の内側縁(上角・下角を含む)
筋体積 359㎤
PCSA(注1) 20.5㎤
筋線維長 17.5cm
速筋:遅筋 (%) NA
(注1)「生理学的筋横断面積」の略称。基本的に筋肉が発揮できる力はPCSAに比例する
【参照:プロが教える 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
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前鋸筋の知っ得情報

前鋸筋は「ボクサー筋」とも呼ばれる筋肉!?

前鋸筋が持つ主な働きである、肩甲骨を前方へ送り出す肩甲骨の外転動作。

この働きによって、人は腕をさらに前方へ伸ばして前にある物を手に取ったり、リーチすることが出来ます。

そして、この動作はボクシングにおいての伸びのあるストレートパンチを放つ時にも重要になってくる。

特に、前鋸筋は「瞬時に」肩甲骨を前方へ押し出すことが出来るため、ボクシングのように素早いパンチを繰り出していくことが求められる競技では、この前鋸筋が発達してくることになります。

具体的に、ボクサーの体を画像で見てみると、前鋸筋が普通の人に比べて発達しているのが確認出来ます。

(マニー・パッキャオ)

脇下の肋骨部にノコギリのような前鋸筋の発達が確認出来る

(ティモシー・ブラッドリー)

肌の色によって分かりにくいものの、脇下のノコギリ状の形は確認出来る

この様に、選手によって程度の差こそあれ、腕を前方へ伸ばして相手へリーチするパンチ動作が多いボクシング選手の体では、前鋸筋が発達してくることから、前鋸筋は「ボクサー筋」として知られているのです。

意外にも大きめな前鋸筋

上半身の中で大きな筋肉というと、大胸筋(676㎤)や広背筋(550㎤)、三角筋(792㎤)や上腕三頭筋(620㎤)が有名で、それに続いて、上腕二頭筋などの名前が挙がるかと思います。

それに対して前鋸筋は、深層筋であり表層筋と比べると地味な存在。さらに面積が広くその分厚みはそこまでないため、大きな筋肉として名前が挙がることはほとんどありません。

しかし、前鋸筋の筋体積は359㎤と、力こぶの筋肉としても有名で、比較的大きめな筋肉として名前が挙がりやすい上腕二頭筋の366㎤に匹敵するほどの大きさ

また、首回りから背中中央まで広がり、前面からでも後面からでも目立ちやすい僧帽筋の458㎤という体積と比べても、前鋸筋はその僧帽筋のおよそ80%の大きさを持っていることになります。

前鋸筋は、あまり名前こそ挙がらないものの、実は比較的大きめの筋肉であったんですね。

菱形筋に対しては拮抗筋としても協働(共同)筋にもなる筋肉

(上は菱形筋)

筋肉はある動作に働く筋肉(主働筋)に対して、逆の動作を担って拮抗関係になる筋肉を「拮抗筋」と呼びます。

さらに、主働筋と一緒に働き、補うように協力して働く筋肉を「協働(共同)筋」と呼ぶ。

前鋸筋は面白いことに菱形筋に対しては、ある時は拮抗筋、ある時は協働筋という、珍しい関係になることに。

というのも菱形筋は、

  1. 肩甲骨の内転
  2. 肩甲骨の挙上
  3. 肩甲骨の下方回旋

といった3つの役割を持ち、そのうち「肩甲骨の内転」に関しては、前鋸筋が持つ「肩甲骨の外転」とは拮抗する関係になる。

それに対して、肩甲骨の下方回旋に関しては、菱形筋が最も貢献度の高い主働筋となり、その動きをサポートするように、前鋸筋の上部繊維が協力しながら一緒に働いていくことにより、菱形筋と前鋸筋は協働関係になる。

このように、菱形筋と前鋸筋はある時は拮抗し合いながら、ある時は協力しながら働いていくことになるのです。

前鋸筋は筋トレやストレッチで無視されがちだけと大切な筋肉

筋トレメニューやストレッチのプログラム、他にもフィットネス関連のクラスの最中に、「大胸筋」や「広背筋」などの名前を耳にすることは多いかと思いますが、「前鋸筋を収縮させて!」などということはほとんど耳にしません。

前鋸筋は、それだけ通常の筋トレやストレッチでは無視されがちな筋肉。

しかし、前鋸筋がこわばってしまったり正常に機能しないと、

  • 呼吸をするのがちょっと大変に感じる
  • 腕を思った通りの方向へ上手く伸ばしていくことが出来ない
  • 首や背中の痛みに繋がってくる可能性がある
  • 肩のローテーターカフに影響が出る
  • 血液やリンパの循環に影響が出るかもしれない

などと、悪影響が出てしまう可能性が高まります。

そのため、あまり触れられることはないにしろ、この前鋸筋をしっかりとストレッチしておいたり、有効な鍛え方を通してトレーニングしておくことは、実は大切だ言えるかもしれません。

前鋸筋のストレッチ

前鋸筋の作用や特徴について見てきましたが、ここで前鋸筋に効果があるとされるストレッチ方法を見ていきましょう。

上にも示したように、前鋸筋が上手く機能しなくなることで他の部位に影響を与え、そのことで怪我や不快感が起こってしまうことになりかねません。

前鋸筋をストレッチしてケアし、そのようなリスクを下げていきましょう。

前鋸筋のストレッチ①

  1. 立った状態で腰からお尻上部にかけて両手を当てます
    1. 肘は曲げておきましょう
  2. 肩甲骨を引き寄せながら、手で腰とお尻上部を押していきます
  3. 同時に、お腹を突き出して胸は思い切り張っていきます
  4. 前鋸筋がストレッチされている状態で30秒維持しましょう

ストレッチの強度を強くしたい場合、誰かに手伝ってもらい、さらに腰を押して胸を張っていくと効果が高まります。

前鋸筋のストレッチ②

  1. 両足を合わせて立ちます
  2. 両手を握り合った状態で、頭上に両腕を伸ばしていきます
  3. その状態から、横へ体を倒していきましょう
    1. この時に斜め後ろへ少し傾けるとさらにストレッチ効果が高まります
  4. 伸ばした側の前鋸筋がストレッチされた状態で30秒維持しましょう

前鋸筋の鍛え方におすすめな筋トレ&トレーニング方法

前鋸筋をストレッチして柔らかくすると同時に、前鋸筋の鍛え方を確認して強化していきましょう。

前鋸筋を筋トレなどのトレーニングを通して強化しておき、前鋸筋が上手く機能しないことで起こってしまうかもしれない悪影響を予防していきましょう。

腹横筋の鍛え方① 肩甲骨プッシュアップ

腕立て伏せの状態になり、床を押す力を負荷にして肩甲骨の内転と外転動作を繰り返していく筋トレ方法。

肩甲骨の内転動作は主に僧帽筋(中部)と菱形筋、肩甲骨の外転動作は主に前鋸筋の鍛え方として有効になってきます。

  1. 腕立て伏せの状態を作ります
  2. 腕は伸ばしたまま、ゆっくりと両肩甲骨を内側へ引き寄せます
  3. その後、ゆっくりと両肩甲骨を引き離すようにして外側へ動かしていきます
  4. 10回程度繰り返していきましょう 

腹横筋の鍛え方② ダンベルアップライトロー

ダンベルアップライトローでは、動作の中で肩甲骨が内回りに回転する肩甲骨の上方回旋を行っていくため、僧帽筋を中心にしながらも、前鋸筋もサブのターゲットとしてトレーニングしていける鍛え方。

(肩の力を使って腕を引き上げていくため、肩の三角筋もメインとして鍛えられることになる筋トレです)

  1. ダンベルを順手でそれぞれ握り、直立します
  2. 脇を開きながら肩の力を使い、両肘を高く引き上げていきます
    1. 常に肘が前腕より高くなるようにしておきましょう
  3. その後、ダンベルを下げていき、最初の状態に戻っていきます

ダンベルを利用しなくても、ケーブルを利用したケーブルアップライトローイングや、バーベルアップライトローイングといった筋トレでも、同じように肩甲骨の上方回旋が行われるため、前鋸筋が一緒に鍛えられていくことになります。

腹横筋の鍛え方③ ダンベルローテーショナルパンチ

前鋸筋の特徴である「手を伸ばして肩甲骨を外転させる動作」を、ダンベルを握りパンチを行うことで繰り返していくトレーニング方法。

ボクサー筋と呼ばれる前鋸筋を、ダンベルの負荷を加えたパンチを繰り返しながら強化していきましょう。

  1. ダンベルを両手に握った状態で立ちます
  2. 体を横へ捻りながら、ストレートパンチを放ち、出来る限り手を伸ばしていきます
  3. その手を引き、体を逆側へ捻りながら同じようにストレートパンチを放っていきます

ダンベルの代わりに、トレーニングチューブやケーブルマシンを利用して行っても、前鋸筋の強化に有効なトレーニング方法になりますよ。

前鋸筋も鍛えられるらしい?

次の筋肉・筋トレ記事も一緒にどうぞ!

前鋸筋とは?鍛え方に有効な筋トレやトレーニングとストレッチまで|作用を理解してケアしていこう!のまとめ

脇下の深層筋で、ボクサーの体を見るとよく確認出来る前鋸筋について、詳しく見てきました。

前鋸筋について理解出来たら、紹介したストレッチ方法や鍛え方を参考に、早速ケアしていくと良さそうですよ!

ぴろっきーでした!

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