遅筋の鍛え方とトレーニング方法|赤筋についての体系的な理解を基に考える

遅筋の鍛え方や具体的なトレーニング方法を見ていきます。赤筋と言われる遅筋を鍛えるために抑えておきたい知識や理論を確認してみましょう。

OK slow twitch training 1st

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遅筋の鍛え方やトレーニング方法について、一度体系的に理解しておきませんか?

遅筋(赤筋)については、なんとなく持久力に関することは分かっているし、ランニングをやっておけば鍛えられそうということまでは知っていても、具体的にどういった理由があって遅筋が鍛えられるのかはあまり分かっていないかもしれません。

遅筋を鍛えることで、持久力系の運動パフォーマンスが高まることはもちろん、細くてしなやかな筋肉と健康的な体を手に入れることも出来ます。

瞬発力をつけるために必要な速筋の筋トレについては、多くの情報があったとしても、遅筋の鍛え方についてはあまり多くはありません。

そこで、遅筋の鍛え方をするにあたって有効なトレーニング方法や、そのトレーニングの背景をもっと理解するのに役立つ遅筋についての知識を見ていきましょう(遅筋の鍛え方だけを知りたければ、前半だけ確認しておけば十分です)。

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遅筋について再確認

muscle fibre

左が遅筋繊維

遅筋の鍛え方を見ていく前に、簡単に遅筋についておさらいしておきましょう。

持っている筋肉が速い又は遅いという違いは、どのような違いによって生まれるのでしょうか?

それは簡単に言えば、その筋肉の中にある遅筋と速筋繊維の割合と、その繊維をどのように鍛えたかによって変わってきます。

遅筋の割合が多ければ多いほど、筋肉は持久性のあるエネルギーを供給することが可能です。

つまり遅筋とは、収縮速度が遅いため出力できるパワーは小さいのに対して、披露しにくく持続的に力を出していける筋肉の繊維ということになります。

遅筋の量が多ければ多いほど、長距離走などの持久力がものをいう競技やスポーツ、運動が得意だということになります。

▶︎筋繊維タイプの種類(速筋と遅筋)を比較|白筋と赤筋の特徴とは?

遅筋の鍛え方・トレーニング方法

OK slow twitch training

さて、それではここからが今回の最も重要な本題。遅筋の鍛え方について見ていきましょう。

遅筋の鍛え方を考える時、遅筋の特徴である次の点、

  • 小さなパワーを発揮する
  • 持続的にパワーを発揮する

という二つの点に焦点を絞り、トレーニング方法を決定していくことになります。

この2点をおさえながらトレーニング方法を考えていくと、簡単に遅筋の鍛え方を見つけていくことが出来ます

遅筋の鍛え方について、有酸素運動と筋トレの二つの軸で、最適なトレーニング方法というものを考えてみましょう。

遅筋の鍛え方:有酸素運動編

OK bicycle muscles

遅筋は、エネルギーを生み出すために主に酸素を使っていく(有酸素性の代謝)ことになります。

そのため、代謝活動において酸素を必要とする、いわゆる有酸素運動が遅筋を鍛えるための一つのトレーニング方法になります。

また、遅筋は小さなパワーを継続的に発揮するという点を踏まえ、低〜中負荷でゆっくりと長い時間、次のような有酸素運動を行うことが、遅筋のトレーニング方法の例となります。

  • ランニング/ジョギング
  • 水泳
  • 早足でのウォーキング
  • サイクリング

これらの有酸素運動を負荷を抑えながら継続していくことで、瞬発力を司る速筋ではなく、あくまでも遅筋をメインに使っていくことになり、その結果、遅筋のパフォーマンスを高めていくことが可能になります。

もしも有酸素運動を長い時間行うのが難しい場合、まず短い時間で良いので低〜中程度の運動をゆっくりと行っていき、徐々に持久力を伸ばして、トレーニングの頻度を高めていくようにしましょう。

遅筋の鍛え方:筋トレ

dumbbell curl

いわゆる筋トレは、二つの方向に分けることが出来ます。

  • 筋力を鍛えるのか?
  • 持久力を鍛えるのか?

一般的に筋トレを行う場合、ほとんどの人が筋力を高めることを目的とするかと思いますが、その場合は1)重いウェイトを利用して、2)少ない回数(12回以下)で同じ動作を反復させ、筋肉を鍛えるかと思います。

それに対して、筋トレで持久力を鍛える場合は、1)軽いウィエトを利用して、2)多い回数(15回以上)で同じ動作を反復させて鍛えていくことになりまう。

基準として、12レップ(回数)を「何の不自由もなく」繰り返していける場合、そのトレーニングに貢献している筋繊維の50%以上は遅筋であると考えて問題ないでしょう。

そのことを踏まえ、筋トレで遅筋の鍛え方を考える場合、次のポイントを押さえておきましょう。

  • 1週間に3日(セッション)は遅筋の筋トレを行う
  • 1セッションは8-10の筋トレ種目で組む
  • 1つの筋トレ種目は15-20回×3セットを目安に行う
  • セッション後も筋肉への疲労をほとんど感じない程度の負荷で行う

(スクワットや腕立て伏せなどの筋トレは、自重を使って行うと負荷として丁度良いかと思います。慣れるまでは15~20回のレップも大変かもしれないので、その場合は、体を下げていく動作を浅くして行い、負荷を下げた形で繰り返してみましょう。)

遅筋のトレーニング方法として、これら持久筋の筋トレは無視されがちですが、体全体の持久力を高めたい場合は、有酸素運動のメニューに加えて、これら遅筋の筋トレを行っていくことも大切です。

遅筋の筋トレを取り入れることで、持久力をアップさせ、体の耐久力を全体的に高めるため、結果的に有酸素運動におけるパフォーマンスへもポジティブな形で影響してきます。

遅筋の鍛え方で覚えておきたいこと

OK jump

遅筋の鍛え方について、有酸素運動と筋トレを中心にトレーニング方法を確認してきましたが、遅筋をトレーニングする際にはいくつか覚えておきたいことがあります。

それって実は速筋の鍛え方になってない?

まず、有酸素運動だと思って繰り返していた運動でも、実は速筋(瞬発力の筋肉)をメインに使っていたなんてことになっているかもしれません。

例えば、高い所から飛び降りて着地を止める場合。この時は、着地に耐えるために急激に大きな力を必要とします。その結果、遅筋ではなく大きな力を発揮できる速筋の方がメインに使われていくことになります。

高いところからジャンプして体を支えるためには、ブレーキに大きな力がかかり、それが体の安全を保つことになります。この時に、どうしても速筋が使われていくってことです。

この良い例が、階段の下り場面。長い階段をテンポ良く下り続けると、足がガクガクとなり、次の日に筋肉痛が来たりします。これは、下りの際にブレーキをかけるために速筋が働いているから。

遅筋のトレーニングだと思ったら実は速筋のトレーニング方法だったなんてこともあるので、この点は覚えておくと良いでしょう。

遅筋を鍛えると太くなることはない

遅筋を鍛えていくと、遅筋が太くなって持久力のパフォーマンスが上がると思う人が多いかと思いますが、実は遅筋は鍛えてもほとんど太くなることがない筋肉。

むしろ逆で、遅筋のトレーニング方法を繰り返していくことで、速筋繊維が細くなって遅筋繊維の割合が大きくなっていくことが分かっています。(参照:骨・関節・筋肉の構造と動作のしくみ

また、遅筋を継続的に刺激していくことで遅筋内の毛細血管の密度が濃くなり、結果的に酸素の運搬能力が高まり、それがまた遅筋の持久力を高めることにもつながっています。

ちなみに、アスリートではない人の腕や全身の遅筋割合は45-55%ほど。それに対して、持久系競技の選手が持つ平均的な遅筋繊維の割合は次のように言われています。

競技 遅筋が占める割合
長距離走 78%
カヌー 71%
水泳 67%
トライアスロン 60%

遅筋の鍛え方をさらに理解するために遅筋についてもっと詳しくみていく

遅筋のトレーニング方法については、見てきた通りなので、もしも遅筋の鍛え方だけを知りたい人は、これ以降の話は特に読む必要はありません。

しかし、遅筋の特徴を知って遅筋の鍛え方の背景について理解を深めたい人は確認してみると良いでしょう。

速筋と遅筋の違い

muscle fibre

中央と右は速筋

筋肉収縮のスピードとは、筋繊維に刺激が加わった時に収縮するスピードを表しています。遅筋はスピードが必要とされる動きに向いおらず、速筋ほど筋収縮率が速くありません。

以下の比較を確認してみましょう。

最大の力を発揮するまでにかかる時間
  • 遅筋の筋繊維
    • 0.1秒
  • 速筋の筋繊維
    • 0.025~0.05秒

この力を発揮するまでに掛かる時間が、発揮できるパワーとスピードの違いになってきます。

遅筋は赤筋とも呼ばれる筋肉。遅筋のトレーニング方法とは「赤い原因」への酸素供給能力を高めることでもある

blood vessel 1st

また、遅筋は赤筋とも呼ばれている筋繊維。

筋繊維内にあるミオグロビンとチトクロームが多く、血液の供給が豊富で有酸素エネルギーを生成する大きな助けとなるタンパク質です。

このミオグロビンとチトクロームの密度が濃く血液の供給が多いために、肉眼でみると赤く見え、赤筋と呼ばれているのです。

そして、遅筋のトレーニング方法を採用して、遅筋繊維の持久力を高めるということは、このミオグロビンとチトクロームへの酸素供給能力を高めていくことに他なりません。

遅筋は速筋の様に太くならないため、外から目に見える変化はほとんどありません。しかし、正しい遅筋の鍛え方をしていくことで、遅筋内部では変化が起きていくのです。

モーターユニットで見る遅筋

motor unit

筋肉の働きを考える時、モーターユニット(運動単位)を知っておく必要があります。

モーターユニットとは、一つの運動神経細胞が支配するすべての筋繊維をまとめた単位。

つまり、一つの運動を司る神経と複数の筋繊維が合わさった「まとまり」で、モーターユニットを形成するそれぞれの歯車が、上手く噛み合うことで筋力を生み出すといったイメージだと分かりやすいかと思います。

そして筋繊維のタイプによって、モーターユニットの大きさや歯車の噛み合い方が異なります。

筋繊維のタイプによるモーターユニットの大きさと噛み合い方の違い

サイズ

  • 小さな力を長時間出し続ける遅筋(赤筋)
    • →モーターユニットのサイズは小さい
  • 瞬間的に大きな力を発揮する速筋(白筋)
    • →モーターユニットのサイズは大きい

噛み合い方

  • 遅筋(赤筋)が刺激されると
    • モーターユニットを構成する歯車は強調して同時に働く
    • 一つの歯車が次の歯車を動かし、全てが同時に動く
    • 遅筋のモーターユニットはすぐに働く
  • 速筋(白筋)が刺激されると
    • モーターユニットを構成する歯車は同時には動かない
    • ある程度の意識的な刺激を与えることでようやく歯車が動き出す
    • 速筋のモーターユニットは基本的にすぐには働かない

基本的には最初に遅筋が働いて速筋が働く

この遅筋と速筋のモーターユニットの違いを見て勘の鋭い人はすでに分かったかと思いますが、日常的な運動では、基本的に小さい遅筋繊維のモーターユニットがまず動き、次に大きな速筋のモーターユニットが動きます

しかも、大きな速筋のモーターユニットは、徐々に負荷が増大していったり、意識的に刺激を与えない限り動きません。

筋トレで重いウェイトとを扱う際に、最初は意識を集中しておかないと急に持ち上げることが出来ないのはそのためです。

これは、例えば跳び上がる動作などにも言え、より高く跳ぶためには、より大きい速筋のモーターユニットを動かさなければならず、しっかりと意識を働かせることが必要になるのです。

つまり、遅筋のトレーニング方法はこのモーターユニットの特徴を利用したものであり、徐々に負荷を高めることもなければ、重たいものを動かそうと意識することもない鍛え方になるのです。

しかしすでに触れた通り、高い所からジャンプして着地する際などは、生命を守るための生理学的反応から、速筋の方が先に使われることになります。

やってはいけない筋トレっていうのが面白い視点

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遅筋の鍛え方とトレーニング方法|赤筋についての体系的な理解を基に考えるのまとめ

遅筋の鍛え方とトレーニング方法、そしてその理論的な体系知識について見てきました。

遅筋を鍛える方法というのは、あまり多く語られることはありません。しかし、今回紹介したことでしっかりと理解出来たかと思います。

今後遅筋を鍛える必要がある場合は、是非参考にしてください!

ぴろっきーでした!

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