伸張反射とは?伸張反射のトレーニングとストレッチについても解説

伸張反射とはどのようなものか知っていますか?筋肉が持つ伸張反射を理解して、普段のトレーニングに採用したり、そのためにもストレッチを行っていったりしましょう。

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伸張反射とは筋肉が持つ一つの作用。

実は、その作用について理解していくと、普段の筋トレやそれ以外のトレーニングにおいて利用していくと、優れた効果を期待していけるのが分かってきます。

そこで、筋肉が持つ伸張反射について詳しく見ていき、また伸張反射を利用したトレーニングはどのようなものなのか、その効果や具体例も紹介していこうと思います。

また、伸張反射とストレッチの関係に関してもちょっとだけ解説。

伸張反射について理解していくためにも、まずは身体動作がどのように起こっていくかの確認から始めていきましょう。

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伸張反射について理解する前に身体動作の起こり方を確認

伸張反射についてみて行く前に、身体動作の起こり方を大きく二つに分けて簡単に説明していきます。

意識的な身体動作の神経経路

まずは人間も含めた哺乳類一般に言える身体動作の多くは、

  1. 脳によってどのような動きをするのかを判断し、
  2. 神経から脊髄を介して指令を送りたい部位に信号を送り、
  3. それによって動作が起こり、動作が完了した信号が、
  4. 今度は同じ道筋を逆戻りして、動きが完了したことを脳に伝え、
  5. 次の動きをするためのプロセスに入る

人間が普段何気なく行っている意識的な動作は、全てこの神経系の経路を通り、引き起こされていくことになります。

無意識的な身体動作の神経経路

それに対して、人間の身体活動の中には、意識をしないでも起こる活動、そしてそれに付随した神経伝達のプロセスが数多くあります。

心臓の機能、呼吸、代謝機能、免疫機能など、様々な自律神経系のプロセスが、体内では無意識に行われており、神経の信号(刺激)を使で、これら活動の増減や維持を行なっている。

例えば、体内の二酸化炭素量が上昇し始めると、自律神経系が持つ、酸塩基平衡を保っていく調節機能が働き「呼吸数が上がる」などがその具体例。(※酸塩基平衡とは簡単に言えば体内の酸と塩基のバランス。イメージ的には酸性とアルカリ生のバランスを取るようなもの)

そして、今回の主役である伸張反射が含まれる反射も、神経系による無意識反応になります。

伸張反射とは?

伸張反射とは、勢いよく受動的に筋肉が伸びるような刺激に対して、その筋肉が収縮するように、あらかじめ体に据え付けられている反射反応。

東京大学の石井直方教授の言葉を借りれば、

筋を伸張すると、筋の中にある「筋紡錘」という感覚器が伸張を感知し、脊髄にある同じ筋の運動神経を活動させて伸張に対する抵抗力を発揮させる

(引用:運動に関わる筋肉のしくみ

というもの。

つまりイメージしやすく言い直すと、「伸張反射とは、筋肉が勢いよく伸ばされた場合に、自動的に筋肉を収縮しようとする、体の中であらかじめ決められらプログラム」と言える。

そして、この伸張反射が持つ特徴というのが、意識的に筋肉を動かす動作とは違い、筋肉の伸張を筋紡錘が感知すると、そこから発せられた刺激は脊髄まで到達するだけで筋肉の収縮を引き起こせるということ。

脊髄と筋肉を往復するだけなので、

  • 脳まで信号が到達する必要がなく
  • 非常に速い反応

で、筋肉の収縮活動を起こせることになります。

ちなみに健康な人の場合、筋肉に急激で強力な伸張が起きたときには、すぐに伸張反射が起きるはずで、逆に、「伸張反射が遅れる」、「反射が起こらない」場合は、神経や、神経と筋肉の連携に何らかの問題がある可能性があるとも言われています。

伸張反射の目的

伸張反射が人体に元々備わっている理由、それは、一言で言えば「体を守るため」。

この伸張反射が持つ「体を守るため」という役割については、次の二つの視点から説明することが出来ます。

  1. 筋肉の断裂を予防するため
  2. 姿勢を維持するため

伸張反射の役割① 筋肉の断裂を予防するため

筋肉は勢いよく引き伸ばされていくと、最悪の場合断裂してしまったり、そうでなかったとしても筋繊維に大きなダメージが掛かってしまうリスクがあります。

そのため、このような急激な筋肉の伸張を感知した筋紡錘は「危ない!」と反応し、直ちに脊髄へ筋肉を収縮するように信号を送る

そして、それに反応した脊髄は、それ以上筋肉が無理に引っ張られたり、通常の範囲以上に引き伸ばされたりしないように、筋肉を収縮させて守っていく。

これが、伸張反射が持つ「筋肉の断裂を予防する」役割。

伸張反射の役割② 姿勢を維持する

また、伸張反射は、姿勢にも重要な役割を果たしています。

例えば、左右どちらかにわずかでも体が傾いていると、背骨、腰、脚の筋肉が伸びる原因となる。他にも、急に押されたり、バランスを崩した際に、そのままだと転倒してしまうことになりかねない。

このような状況下で素早く姿勢を調整していくためには、脳に信号を伝達して筋肉を動かす信号を待っていては間に合わないため、体は伸張反射を繰り返していくことになる。

つまり、体は常に細かく姿勢を調整して安定させるために、伸張反射を繰り返しているということなんですね。

良く見る伸張反射の例

ちなみに伸張反射については、一般的にも見る次のような例を挙げることが可能。

例えば、膝反射(膝蓋腱反射)。膝頭の真下(膝蓋腱)を小さなハンマーで叩くと、ピョコンと膝関節が伸展する。

これは、膝関節をまたいで、膝関節の真下に繋がっている大腿四頭筋の腱を叩くことで、

その腱が僅かに伸びる→→大腿四頭筋も少し伸張する→→その結果、大腿四頭筋が素早く収縮する→→脚を軽く蹴り上げる動きが起きる

といったもの。

他にも居眠りをしている人の頭がカクっと倒れても、直ぐに元に戻るような動作。これも、伸張反射によって起こされています。

伸張反射が持つ協働筋と拮抗筋への働きについて

ちなみに、一つの動作を起こす際に最も中心的に働く主働筋を支えるようにして働く協働筋、さらに、主働筋とは逆の動きをして拮抗的に働く拮抗筋も、この伸張反射の中では刺激を受けていくことになる。

まず、協働筋に関しては、より素早く筋肉を収縮させて怪我を防いでいくために、脊髄から主働筋と同じように「収縮」の刺激を受け、主働筋と一緒になって収縮動作をさらに促進していくことになる。

逆に、拮抗筋に関しては、その働きが抑制されることになる。

Aという筋肉が伸張させられた場合はBという拮抗筋は収縮することになるが、その後、急に筋肉Aが収縮する場合、そのままだとすぐに筋肉Bは拮抗的な働きを起こせずに、筋肉Bも収縮していくことになり、伸張反射に支障をきたしてしまうことになる。

そのため、伸張反射が起こって筋肉Aが収縮すると、脊髄は筋肉Bの収縮作用を抑えることになり、筋肉Aがスムーズに素早く収縮させるように促していく。

このように伸張反射では、

  • 協働筋
    • 主働筋と同じように収縮が促される
  • 拮抗筋
    • 働きが抑制される

といった形で、筋肉の働きによって、別々の刺激が脊髄から送られていくことになります。

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伸張反射を利用したトレーニングとは?

筋トレには、高負荷の重量をじっくりと挙上していく一般的なトレーニング方法以外にも、様々な方法があります。

そして、その中にはこの伸張反射を利用した筋肉のトレーニングというのも存在している。

その最も典型的な例がプライオメトリクス。詳しい解説は、プライオメトリクスのトレーニングメニュー|伸張反射を利用したトレーニングをたくさん紹介!を確認してもらうとして、簡単に説明すれば次のようなもの。

ジャンプなどの「反動動作」を繰り返して、筋肉が瞬発的に発揮する力を高めるトレーニング

例えば、ジャンプ動作では次のような形で、伸張反射が利用されていくことになる。

  1. ジャンプする前にしゃがむ
    1. 膝を曲げることで、ジャンプに大切な大腿四頭筋が伸ばされる
  2. 大腿四頭筋に伸張反射が起こる
    1. 大腿四頭筋が引き伸ばされたことに対して、収縮する刺激が骨髄から送られる
  3. 筋肉を収縮させ、大きな力を出して飛び上がっていく

このように、ジャンプの動作では伸張反射が起こることになる。

そして、伸張反射を大きく起こせば起こすほど、弾性エネルギー(バネの様に引き伸ばされると溜まる反動エネルギー)が溜まり、収縮する際に、より大きな爆発力を発揮していくことが可能になります。

ここで思い出して欲しいのが、伸張反射は「勢いよく」筋肉が引き伸ばされることで、引き起こされるという点。

そのため、伸張反射を高めてより大きな筋肉の収縮力を引き起こしていくため、プライオメトリクスなどのトレーニングでは、出来るだけ素早く反動動作を繰り返していき、より大きな伸張動作を起こし、大きなパワーの発揮へつなげていくことになります。

動作を素早く繰り返すのはゴルジ腱器官の反射を抑えるためでもある

ちなみに、伸張反射とは逆で、筋肉の収縮を「抑制してしまう」反射として、ゴルジ腱器官の反射があります。

ゴルジ腱とは、筋と腱の移行部に位置しているもの。筋紡錘が引き伸ばされた筋肉を守る役目を持つように、ゴルジ腱は「腱」が伸ばされすぎてしまうのを防ぐ役割を持っている。

腱が伸ばされる状況というのは、筋肉が収縮していく状況であるため、ゴルジ腱が働く場合は筋肉の収縮が抑えられ、筋肉を弛緩していくことになる。

つまり、このゴルジ腱器官の反射が起こると、せっかく起こった伸張反射の作用が弱められてしまうってこと(ゴルジ腱器官の反射→筋肉を弛緩させる vs 伸張反射→筋肉を収縮させる)。

そのため、伸張反射を利用ししたトレーニングで、なぜ反復動作を素早く行っていくかの理由の一つに、ゴルジ腱が反応する前に筋肉を収縮させていくといった点もあるのです。

伸張反射を利用したトレーニングの効果を解説すると?

今まで説明して来たとおり、伸張反射を利用したトレーニングが持つ効果については「筋肉が発揮出来る爆発的な瞬発力を伸ばす」というのは、既に理解出来ているかと思います。

その点についてより詳しく見ていくと、次のような理由で筋肉が発揮出来る力が伸びていくと言えます。

神経系と筋肉の連携を強化する

伸張反射のトレーニングでは、素早い動作を繰り返し、筋肉と脊髄にある運動神経の働きを反復していくことになる。

この結果、筋肉と神経系との信号伝達が強化され、一つの動作に関与する筋繊維の量が増え、同時に神経系の反応がより早くなっていくことになります。

そのため、同じ動作であっても、より発揮出来る総合的な筋力が高まっていくのです。

速筋繊維の関与が大きい

また、伸張反射のトレーニングでは、筋肉が伸張しすぎないように直ぐに筋肉を収縮させる必要が出てくる。

この際に、筋肉を収縮させるまで時間が掛かっていては意味がない。

その結果、素早く力を発揮していける、瞬発力の筋肉(大きな力を出すために必要)である速筋繊維が使われていくことになる。

そして、伸張反射のトレーニングで行われる、連続的な動きを通して絶え間ない緊張がその速筋繊維に起こることになり、結果として速筋繊維がより活性化し、瞬発力を高めていくことにつながっていくのです。

伸張反射トレーニングは普段の筋トレでも利用できる

伸張反射のトレーニングと言えば、プライオメトリクスのトレーニングとして有名な、テンポよく行う、ジャンプスクワットボックスジャンプなどがありますが、実はウェイトを利用した通常の筋トレ種目などにも応用していくことが可能。

プライオメトリクスについては、プライオメトリクスのトレーニングメニューを参照してもらうとして、ここではベンチプレスを応用して伸張反射を高めるトレーニング方法を見てみます。

ベンチプレスで伸張反射トレーニング

(概要)

  • 1 1/4の動きを行っていくベンチプレス(※詳しくは後述)
  • 伸張反射を行うことで、筋力発揮を高めていくのが目的
  • 安全のためにも出来ればスミスマシンで行いたい

(やり方)

  1. ベンチプレスでバーベルを胸まで下げていく
  2. 10cm~15cm程度バーベルを上げる
    1. そこで2秒静止する
  3. 素早くバーを胸まで下ろす
  4. 同時に、両腕を伸ばしてバーベルを完全に上げていく
    1. この部分が伸張反射トレーニングとなる

この様に、通常の1回分の動作と1/4程度の動作が組み合わさるため「1 1/4」となります。

伸張反射とストレッチの重要性

今まで伸張反射を利用して、意図的に発揮出来る筋力を高める伸張反射トレーニングとその効果について見てきましたが、実は伸張反射自体は逆に怪我を引き起こしていまう原因になる可能性もあったりします。

スポーツなどでの筋力発揮を高めるために、徐々に伸張反射トレーニングの強度を高くしていくならまだしも、いきなり激しい伸張反射を引き起こすと、その反動で急激な力が作用して、逆に怪我を引き越しす原因にもなり得る。

伸張反射を利用したトレーニングを繰り返している人は別として、通常は、柔軟性が低下している筋肉で伸張反射は起こりやすい。

伸張反射を利用したトレーニングを開始していくには、ゆっくりと筋肉や腱を伸張していくストレッチも取り入れて、ある程度柔軟性を高めながら行っていくようにした方が良いかと思います。

すご〜く詳しそう

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伸張反射とは?伸張反射のトレーニングとストレッチについても解説のまとめ

伸張反射について、その概要や起こり方のプロセス、さらには伸張反射を利用したトレーニングや、ストレッチの重要性についても見てきました。

伸張反射は筋肉が持つ体を守るための作用。ただし、トレーニングなどに応用すると、筋力アップなどの効果も高めていけるので、覚えておくと良さそうですね!

ぴろっきーでした!

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