異化作用と同化作用(カタボリックとアナボリック)|筋肉に影響する二つの作用を比較して筋トレで大切なポイントも紹介!

異化作用と同化作用(カタボリックとアナボリック)を比較していき、その結果を元にして、筋肉の増強を目指す上で大切なポイントを考えていきます。

異化作用と同化作用(カタボリックとアナボリック)、この二つの言葉を耳にしたことはありますか?

この二つは筋トレで筋肉増強を目指したり、脂肪を落としていく以外にも、自分の体で起こる新陳代謝において根本的な作用であり、両者についての知識を持っておくことは、肉体改造で結果を残していく上でも、また、健康を維持する上でも有効になってきます。

今回は、この異化作用(カタボリック)と、同化作用(アナボリック)について比較し、その比較によって確認できた特徴を元にして、筋肉の増強を目指す上で大切なポイントまでを見ていきたいと思います。

異化作用(カタボリック)とは?

異化作用又はカタボリックと呼ばれる作用は、複雑な構造の化合物が分解され、エネルギーが放出(体がエネルギーを獲得)する作用のこと。

その化合物とは、摂取した食事に含まれる栄養素から脂肪や筋肉を含む身体組織まで多岐に渡ります。

そして、この異化作用(カタボリック)によって獲得されたエネルギーを利用することで、生命活動の維持をしたり、体を動かしたり、また、再利用されることで、異化作用とは逆の同化作用が起こり、別の化合物が合成されることになります。

例えば、食事をした後に体内で起こる「消化」などは、異化作用に含まれる主な例。

摂取した栄養が、小さい分子に分解されて体内に吸収され、体を動かす又は体を作るエネルギーとして利用されていくことになる。

具体例を挙げるとすれば、

  • 炭水化物の摂取をすると
    • 食物繊維と多糖類であるデンプン、グリコーゲン、セルロース等に分解される
    • その後、単糖類であるグルコース、リボース、フルクトース等に分解される
    • そして、エネルギーとして利用される
  • タンパク質の摂取をすると
    • アミノ酸に分解される
    • 筋肉のタンパク質や骨などの組織を合成するために再利用されていく

といった具合に、摂取した食事は異化作用を経ることで、初めて体に有効利用されていくことになります。

異化作用は筋肉増強において避けたい作用

異化作用(カタボリック)は本来、人間が新陳代謝を起こして生命活動を維持する上では無くてはならない作用ですが、筋肉を増やしたいボディビルダーなどにとっては、最も嫌な作用だったりします。

というのも、先述したように異化作用には、筋肉を分解してエネルギーを得ようとする働きまでもが含まれるから。

この筋トレの目的に反する異化作用の働きは、特にハードなトレーニングを行って体内のエネルギーが足りなくなった場合や、食事摂取を怠って体内のエネルギーや栄養素が足りなくなった場合に起こりやすい。

筋肉増強へ取り組む場合は、「筋肉に起こる異化作用を出来る限り避けて逆の同化作用を起こりやすくしていく」といった努力が必要になってきます。

異化作用(カタボリック)を促すホルモン

ちなみに、この異化作用にはいくつかのホルモンが関わってきますが、そこには次のようなホルモンが含まれ、異化作用が促されていくことになります。

  • コルチゾール
    • ストレスホルモンとしても知られ、副腎(哺乳類などに存在する内分泌器の一つ)から分泌される
    • 不安や緊張を感じた時、長期間にわたってストレスにさらされている時に分泌さる
    • 血圧の上昇、血糖値の上昇、免疫機能の低下を引き起こす
    • 闘争や逃走に素早く反応するため、エネルギー源を血流内に放出する
  •  アドレナリン
    • 別名エピネフリンとも呼ばれ、副腎から分泌される
    • 闘争逃走反応(動物が外敵に遭遇した時、自らの生命を守るための原始的な自己防衛本能。敵が弱そうであれば闘争し、強そうであれば逃走する。)に重要な役割を果たしている
    • 心拍数を上げたり、酸素の吸収を良くするために肺の気管支を広げたり、エネルギーを迅速に供給するためにグルコースを血液中に大量に送り込む働きを持つ
  • グルカゴン
    • 膵臓のα細胞から分泌され、グリコーゲンからグルコースへの分解を促す
    • グリコーゲンは肝臓に貯蔵されており、エネルギーが必要になった時(運動、格闘、高レベルのストレス等)、肝臓に働きかけて異化作用を促し、グリコーゲンをグルコースに分解して血液中に供給する
  • サイトカイン
    • 分子量の小さいタンパク質で、細胞間の情報伝達を担っている
    • サイトカインは体内で絶えず合成と分解を繰り返している
    • 例えば、外敵(細菌、ウイルス、真菌、腫瘍等)の体内への侵入や怪我に対して、免疫反応が起こった時に分泌される

同化作用(アナボリック)とは?

同化作用又はアナボリックとは、単純な構造の分子から複雑な構造の化合物を合成する作用。

異化作用によって獲得したエネルギーや、食事に含まれる栄養素が異化作用で分解されることで再利用され、「身体組織を合成する」この同化作用が起こるため、別名「生合成」とも呼ばれています。

生命維持はもちろん、身体の成長、身体組織の修復や再生、他にも新しい環境への適応などに重要になってくる作用で、例えば、成長期に身長が伸びたり、筋肉が増強されるというのが分かりやすい同化作用(アナボリック)の具体例になるかと思います。

単純な低分子からより複雑な高分子を作っていくことから、「建築業者がレンガを使って様々な建物を作る」と考えるとイメージしやすくなります。

筋肉増強においては不可欠

同化作用(アナボリック)は生合成とも言われる通り、身体組織を合成するプロセスであり、もちろんそこには筋肉も含まれるため、筋トレを行って筋肉を増強したいなら、非常に重要で欠かせない作用。

そのため、ボディビルダーなどにとっては、如何にして同化作用を促進して、逆に異化作用を抑え、「同化作用>異化作用」としていくかを考えることが命題になってきます。

そしてその為にも、体内にアミノ酸やエネルギーを充満させたり、食事を定期的に摂取したり、ハードなトレーニング後にはしっかりと休養をとるといった工夫がなされます。

同化作用(アナボリック)を促すホルモン

この同化作用にもいくつかのホルモンが関わってきますが、そこには次のようなホルモンが含まれています。

  • 成長ホルモン
    • 脳下垂体から分泌され、成長期の成長を促進したり調整したりする
    • 睡眠時や高負荷のトレーニング後に分泌されやすい
    • 成人後は骨の修復、筋肉の増強、体脂肪燃焼の促進などを担う
  • テストステロン
    • 男性ホルモンと言われるが、男性ほどではないにしろ女性にも存在する
    • 高負荷のトレーニング後に分泌されやすい
    • 男性の性徴(ひげや変声)の発達を促し、骨や筋肉の増強または維持などに働く
  • エストロゲン
    • 女性ホルモンと言われるが、女性ほどではないにしろ男性にも存在する
    • 女性の性徴(胸やお尻の丸み)の発達を促し、月経周期を調節し、骨を強化する働きがある
  • インスリン
    • 膵臓のβ細胞から分泌され、血糖値の調整に関わる
    • グルコースやアミノ酸の細胞内への取り込みを促進する

異化作用(カタボリック)と同化作用(アナボリック)の比較まとめ

異化作用(カタボリック)と同化作用(アナボリック)の概要を確認してきましたが、ここで、上で触れた以外のポイントも含めて、両者の比較を簡単に表にまとめていきたいと思います。

異化作用 同化作用
簡単な定義 複雑な分子を単純な分子に分解する代謝プロセス
単純な分子から体に必要で複雑な分子を合成する代謝プロセス
エネルギーの方向 エネルギーを放出する エネルギーを消費する
関わるホルモン ・コルチゾール
・アドレナリン
・グルカゴン
・サイトカイン
・成長ホルモン
・テストステロン
・エストロゲン
・インスリン
酸素利用の有無 有り 無し
具体例 ・タンパク質をアミノ酸へ分解する
・グリコーゲンがグルコースに分解される
・アミノ酸をタンパク質へ合成する
・グルコースをグリコーゲンへ合成する
筋トレに対する影響 筋肉の分解が促進されてしまうので出来る限り抑えていきたい 筋肉の合成が促進されるので出来る限り促していきたい
運動一般への影響 有酸素運動で起こりやすく、カロリーや脂肪を燃焼するのに適している
無酸素運動で起こりやすく、概して筋肉量を増やしやすい

このように、異化作用と同化作用は、人体のいわゆる「新陳代謝のサイクル」を回す二つの車輪のようなもので、人間の生命活動維持には欠かせないものです。

ちなみに「体重」も、単純化して言ってみれば、異化作用と同化作用のバランスで決まることになります。

筋肉増強を目指すために「同化作用>異化作用」にするポイントを確認しておこう

さて、異化作用(カタボリック)と同化作用(アナボリック)の概要や違いを見てきて分かった通り、筋肉の増強を目指すのであれば、如何にして同化作用を促進して異化作用を抑えていくかが鍵になってきます。

そこで、ここからは、「同化作用>異化作用」のバランスを作るために抑えておきたい、筋肉増強のために大切な、いくつかの筋トレポイントを簡単に紹介していこうと思います。

ポイント① 十分な食事量を摂ってこまめに食事補給

筋肉が分解されてしまう異化作用が起こりやすくなるのは、「エネルギー不足になった場合、必要なエネルギーを調達するために筋肉が分解されてエネルギーが放出されてしまうから」というのは、上でも軽く触れた通り。

そのため、大切になってくるのが「エネルギー不足」にならないようにすることであり、まず第一に抑えておくべきポイントが、十分に食事を摂取していき「摂取カロリー ≧ 消費カロリー」の環境を作っていくこと。

摂取カロリーが常に消費カロリー以上になっていれば、カロリー収支がマイナスになることがなくなり、異化作用が必要以上に起こらなくなってきます。

ただし、一回で大量の食事を取るのではなく、こまめに分けて回数多く食事を摂っていくのがポイント。

こまめに食事を摂取することで、血中アミノ酸値が下がってしまう時間を短くし、筋肉の同化作用に必要な体内環境を維持しやすくなります。

また、少ない回数の食事で大量に食べてしまうと、無駄なカロリーが脂肪として蓄えられてしまうことになるため、健康的に筋肉増強をするためにも抑えておきたいポイントになります。

ポイント② トレーニング直後の栄養補給は忘れずに

食事に関してもう一点重要なこととして、ハードな筋トレ直後には、出来る限り栄養補給をしていくというのも、「同化作用>異化作用」を維持したり高める上で大切です。

これは、ハードなトレーニング中には大量のエネルギーが利用されてしまい、トレーニング後には体内のエネルギーが枯渇してしまっている状態だから。

したがって、そのまま栄養補給をせずに放置してしまうことは、エネルギー確保のための体による筋肉の分解を加速させてしまうことになります。

そのため、トレーニング直後には、吸収の早いホエイプロテイン20g前後に加え、吸収の早い炭水化物(糖分を含んだジュースなど)を一緒に摂取していき、体内へ不足したエネルギーや栄養を素早く補給していくことが筋肉増強の結果を左右してきます。

ポイント③ コンパウンド種目に取り組む

また、同じ筋トレであっても、複数の関節動作が含まれるコンパウンド種目を中心にメニューを取り組んでいくというのも「同化作用>異化作用」にするためのポイント。

コンパウンド種目では、関節動作が多い分、より多くの筋肉が関与することになり、

  • 広範囲の筋肉へ一度に負荷をかけられる
    • 対象となる合計筋肉量が多い
  • 筋肉量が多いため高重量を扱いやすい

といった特徴があり、この二つのポイントは、実はアナボリックホルモンである成長ホルモンやテストステロンの分泌を促すトリガーとしても働きます。

結果、同化作用がより促されやすくなるため、「同化作用>異化作用」の体内環境を作りやすく、筋肉増強を導いていくことになります。

ポイント④ 有酸素運動は賢く行う

有酸素運動は心肺機能強化や、心臓血管系の健康を維持・増進させる効果があるため、健康全般を考えれば取り組んでいきたい運動になりますが、「同化作用>異化作用」にするには賢く取り組んで行く必要があります。

というのも、異化作用は主に長時間の特に酸素を使う有酸素運動で引き起こされやすいから。

そのため、筋肉増強を考える上で、長時間の有酸素運動へ取り組むことはあまり好ましいとは言えません。

ただし、心臓血管系の健康維持には大切な運動であることも確か。

そこでおすすめなのが、より短時間で終了しながらも、一般的な有酸素運動を長時間行った場合に匹敵する効果を持つとされるHIIT(高強度インターバルトレーニング)へ取り組んでいくこと。

HIITについて詳しく説明すると長くなるのでここでは触れませんが、HIITのような運動を通して有酸素運動効果を得ることは、「同化作用>異化作用」のバランスを作る上で非常に有効になってきます。

ポイント⑤ 睡眠をしっかりと

睡眠をしっかりと取るというのも、同化作用を高めて異化作用を抑える上では絶対に抑えておきたい点。

睡眠というのは、ハードなトレーニングによって疲労した筋肉を修復・回復・成長させる時間。

特に、睡眠時にはアナボリックホルモンである成長ホルモンが大量に分泌されるため、同化作用を高めていきたいなら、重要な時間になってきます。

また同時に、質のよい睡眠を十分にとっていくことは、カタボリックホルモンであるコルチゾールの値を下げるためにも役に立ってくる。

これらのことから、睡眠をしっかり取ることは、筋肉増強においては必須事項になるとさえ言えるかもしれません。

ポイント⑥「筋肉を増強すること」と「脂肪を落とすこと」を「同時」に達成しようとしない

肉体改造をする場合、「筋肉は増やして体脂肪は落としたい」と考え、筋トレや食事管理に取り組んでいくことになるかと思いますが、「同化作用>異化作用」を維持したり、効率的に体を作るには、「両者を同時進行で達成しようとしない」というのも抑えておきたい点。

これは、「脂肪を落とす=脂肪を分解する」ということは異化作用であり、「筋肉を増やす=筋タンパク質を合成する」ということは同化作用で、両者は相反する作用になってしまうから。

つまり、

  • 脂肪を落とそうと思えば
    • 消費エネルギー>摂取エネルギーの状態を作る必要がある
    • この状態が長く続くと筋肉の発達が抑えられてしまう
  • 筋肉を増やそうと思えば
    • 摂取エネルギー>消費エネルギーの状態を作る必要がある
    • 脂肪も一緒に増えていく

ということ。

よって、筋肉を増やして体脂肪を落としたい場合は、「増量期」と「減量期」に分け、

  • 増量期においては
    • 多少脂肪がついても気にしないようにする
  • 減量期においては
    • タンパク質摂取を増やし高負荷の筋トレを続け、筋肉の分解を出来る限り抑える

というテクニックが効果的になってきます。

とにかく、肉体改造においては、筋肉を増やすことと、脂肪を落とすことを同時に目指さないのが効率的な方法です。

 

アナボリックにぜひ!

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異化作用(カタボリック)と同化作用(アナボリック)を比較し、そこから導き出された答えを元に、筋肉増強に抑えていきたいポイントまでを紹介してきました。

ちょっとした知識として持っておけば、体づくりに非常に役立つかと思うので、参考にしていくと良さそうです!

筋トレキャンプでした!

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