ヒップスラストの効果とやり方を見ていきましょう。バーベルやマシンの重量を利用して、お尻の筋肉を集中して鍛えていける筋トレです。
ヒップスラストの効果とやり方を知っていますか?
ヒップスラストは、筋トレの本場アメリカで、男女問わず愛好家が多い筋トレ種目。
一方日本では、そこまでまだ馴染みがないであろう種目のため、その名前を初めて耳にするという人も多いかと思います。
このヒップスラスト、数ある下半身の筋トレの中でも、おしりの筋肉の一つ、大臀筋(大殿筋)を鍛えるのに効果絶大で、筋トレの王様とも言われるスクワットやデッドリフトの弱点を補填する下半身のトレーニングとして利用されることが多かったりします。
実際、海外のフィジーク選手のSNSを見ると、ヒップスラストを行っている写真が頻繁に登場したり、海外のフィットネスサイトでは、必ずといっていいほど特集が組まれたりします。
そんな凄いポテンシャルを感じるヒップスラストについて、詳しい効果とやり方を確認していってみましょう!
ヒップスラストとは?【概要】
ヒップスラスト(hip thrust)とは、下半身の筋トレ種目の一つで、特にお尻の筋肉を強化する上で効果的だとされるトレーニング方法。
その名前に含まれる「thrust(力強くぐいと押す)」が意味する通り、お尻を前方へ突き出すような動作を行っていくのが特徴。
結果、動作の中では股関節伸展(太ももを後方に振る際に起こる関節動作)が起こることになり、その股関節伸展の主力筋であるお尻最大の大臀筋をメインターゲットとして、大臀筋を補助しながら股関節伸展に作用する、太もも裏のハムストリングをサブターゲットして鍛えていけるようになります。
また、一般的にはバーベルを股関節の折り目(下腹の近く)に載せて行うことが多く、その場合は腹筋(お腹前面の腹直筋)にも比較的強い負荷を入れていくことが出来ます。
ヒップスラストとヒップリフトの違い
(上はヒップリフト)
ちなみに、同じような筋トレ種目としてヒップリフトがありますが、ヒップスラストと比べると両者には次のような違いを見つけることが出来ます。
- ヒップリフト
- 上背部を床につけて行う
- 仰向けの状態から始める
- 股関節伸展の可動域は比較的狭く大臀筋への効果は限定される
- 自重で行うのが一般的
- 上背部を床につけて行う
- ヒップスラスト
- 上背部をベンチや椅子などにつけて行う
- 座位の状態から始める
- 股関節伸展の可動域は比較的広く大臀筋への効果は高め
- バーベルを追加して行うのが一般的
- 上背部をベンチや椅子などにつけて行う
(※ただし、ヒップリフトをヒップスラストと言う場合もある)
このように、可動域を広く取れるヒップスラストの方が、同じ重量を使ったとしても対象とする筋肉への効果が高く、また、重量を加えやすいため、さらに大きな負荷を筋肉へ掛けていきやすくなります。
ヒップスラストのその他の基礎知識とデータまとめ
ヒップスラストを行うにあたっては、自重で行うことも可能ですが、最も一般的なやり方では負荷を増やすためにバーベルを下腹へ載せ、上背部を固定する上でトレーニングベンチを利用することがほとんどです。
また、バーベルを載せた状態でしっかりとお尻を突き上げて、大臀筋を収縮させるヒップドライブをするには、ある程度の筋力と効かせるための感覚が必要なため、どちらかというと中級者以上向けの筋トレ種目であると言えます。
そして動作の中には股関節の動作しか含まれないため、一つの関節動作のみを起こしていく、単関節種目(アイソレーション種目)のトレーニングとして分類されることになります。
運動のタイプ | 筋力トレーニング |
筋トレタイプ | アイソレーション |
筋トレレベル | 中級 |
力の出し方 | 押す力 |
必要な道具 | バーベル・トレーニング(※一般的には) |
メインターゲット筋肉 | 大臀筋 |
ヒップスラストのやり方
ヒップリフトのやり方には、重量を追加するためにバーベルを股関節の折り目に載せて行うものや、代わりにダンベルを利用するもの、他にも自重で行うものなど、異なった方法がいくつか存在しますが、ここでは最も一般的な、バーベルを股関節に載せて行うヒップスラストのやり方を解説していきます。
まず、ベンチの前に膝を立てて座り、背中の肩甲骨あたりがつくようにしてトレーニングベンチへもたれかかります。
足は腰幅程度に広げて膝は曲げておきましょう。
ウェイトプレートをセットしたバーベルを、股関節の折り目(太ももの付け根と下腹の間)辺りに乗せて両手を軽く添えます。バーベルを載せる際には、太ももの上を転がしていくようにしましょう。
これでセット完了です。
お尻を締めるイメージで腰を持ち上げ、上げきった所で1秒静止します。この時、ベンチに載っている上背部と足で体を支えます。
その後、腰をゆっくりと下ろしていきます。
以上の動作を必要な回数繰り返していきましょう。
ヒップスラストのトレーニング方法まとめ
- ベンチの前に膝を立てて座り、肩甲骨辺りをつけてベンチにもたれ掛けます
- 動作中は常に上背部がベンチについているようにしておきましょう
- 足は腰幅程度に開いて、膝は曲げておきます
- バーベルを股関節の折り目(太ももの付け根と下腹の間)あたりに乗せます
- 両手は軽く添えておきましょう
- バーベルを載せる際には、太ももの上を転がしていくようにします
- これがスタートのポジションです
- お尻を締めるイメージで腰を持ち上げていきます
- 上げきった所で1秒静止します
- 両足でしっかりと力を出していくようにします
- ベンチに載っている上背部と足で体を支えるようになります
- 息は吐きながら行っていきます
- その後、腰をゆっくりと下ろしていきます
- お尻が完全に床につくギリギリまでを目安にしましょう
- 息は吸いながら行っていいます
- 以上の動作を必要な回数繰り返していきます
ヒップスラストのやり方ポイント
ヒップスラストで効果を出していくためには、そのメインターゲットであるおしりの筋肉の大臀筋(大殿筋)を、しっかりと使っていくことがポイント。
そのためには、体幹を固定した状態で行っていくことを忘れずにすることが大切です。
お尻を前方へ突き上げていく動作で体幹を反らす体幹伸展が含まれてしまうと、大臀筋ではなく背中を縦に走行する脊柱起立筋の関与が強くなり、お尻への効き目が下がってしまいます。
そこで、お尻を突き上げていく局面では、背中を反らすことなく自然と真っ直ぐに維持し、あくまでも股関節伸展の動きで上げていくようにしましょう。
さらに、お尻の大臀筋へしっかりと効かせていくには、お尻を突き上げた際に膝の角度が90度になり、両足が膝の真下に来るようにしておきます。
また、お尻を出来る限り突き上げていった際、意識的に大臀筋を収縮させるように力を入れて1~2秒静止するようにすると、その効果を一層高めていくことが出来ます。
ヒップスラストのポイントまとめ
- しっかりと体幹を固定した状態で行っていく
- お尻を突き上げていく際は背中を反らすことなく自然と真っ直ぐに維持する
- あくまでも股関節伸展の動きで上げていくようにする
- お尻を突き上げた際に膝の角度が90度になるようにする
- 両足が膝の真下に来るようにしておく
- お尻を出来る限り突き上げた際、意識的に大臀筋を収縮させる
- 収縮させて1~2秒静止すると効果を一層高めていくことが出来る
ヒップスラストのやり方で他にも覚えておきたいこと
ヒップスラストのやり方で、次の事項も覚えておくと何かと効果的かと思うので、確認しておきましょう。
- バーベルを股関節の上に載せると痛みを感じる場合、バーと体の間にパッドやタオルを挟んだり、ファットグリップをバーに取り付けて行うと、不快感を和らげることが出来ます。
- バーベルを使わずに自重で行う場合は、両手を胸の前でクロスさせるようにしておくのがおすすめです。
- お尻を突き上げた時に、膝から肩までのラインが真っ直ぐになるように目指していきましょう。
- 腰を上げたる時は、アゴを上げて首を反ってしまわないようにします。アゴと鎖骨の間に卵を挟むようなイメージでアゴを引いておきましょう。
ヒップスラストのバリエーション
ヒップスラストを行う際には、次のようなバリエーションに取り組んでみるのもおすすめです。
自重ヒップスラスト
ヒップスラストを行う際に、外部のウィエトは追加せずに自重のみで行っていくバリエーション。
バーベルを体に載せて行うにはまだ筋力が足りない人や、器具を利用できない自宅や旅行先などでお尻を鍛えていきたいなんて場合におすすめです。
自宅で行うなら、トレーニングベンチの代わりに椅子やソファーを利用してみるのも良いかと思います。
シングルレッグヒップスラスト
両足ではなく片足だけを床につけて行うヒップスラストのバリエーション。
体を支える脚に対して、通常のやり方と比べておよそ倍程度の負荷を掛けていけるため、両足で行うヒップスラストでは負荷が足りないと感じ始めた人には効果的な方法。
さらに、そこへ高重量のバーベルの負荷を追加していけば、大胸筋を強烈に集中して刺激出来るようになります。
ダンベルヒップスラスト
バーベルの代わりにダンベルを外部の重量として利用していくバリエーション。
バーベルほどは大きな負荷を生み出せないものの扱いやすく、また股関節に細いバーが当たることで生まれる不快感も抑えられるので、外部の重量を加える代わりの方法として検討していきましょう。
また、ダンベルと同じようにウェイトプレートを利用していく方法もあります。
スミスマシンヒップスラスト
左右のガイド部分にバーが固定されたスミスマシンを利用するヒップスラストのやり方。
フリーウェイトのバーベルと違い、バーベルを固定出来るので、高重量のウェイトを利用したとしても安定した動作を繰り返していけるのが特徴。
股関節伸展の動作に集中するためにも、スミスマシンの利用が可能なら取り組んでみると良いかと思います。
ヒップスラストの筋トレ効果
ヒップスラストは、下半身中でもおしりの筋肉、特に大臀筋(大殿筋)を鍛えるのに効果的な筋トレ。
大臀筋はお尻全体を覆うようにして位置する筋肉で、人体でも最大のボリュームを持つとして有名です。
そのため、ヒップスラストに取り組むことは、お尻の筋肉をボリュームアップさせ、丸みを持ったセクシーなお尻を作る上で効果的だと言えます。
また、お尻にボリュームを持たせながら、別の筋トレ種目でヒップラインのトップ部分を形成する中臀筋も一緒に鍛えていけば、ボリューム感と張りのある理想的なヒップアップを期待していけることにもなります。
また、ヒップスラストは太もも裏のハムストリングにも刺激を入れていくため、ヒップラインを整えるだけでなく、脚の後面全体を美しく見せる効果も期待でき、下半身のボディメイクに大いに役立ちます。
ちなみに、下半身の代表的な種目であるスクワットは下半身全体を高重量で鍛えていく効果に優れているため、まずはスクワットで下半身全体に大きな負荷を掛け、その後にヒップスラストでお尻を集中的に追い込んでいくようなやり方をすれば、さらに効果的にお尻の強化へ繋げていけます。
ヒップスラストの注意点
ヒップスラストで期待される効果を発揮していくには、お尻の大臀筋(大殿筋)をしっかりと使うことが重要。
扱うウェイトを重くしたり、レップ(反復回数)を多くこなそうとするあまり、太もも前面の力を使ったり、体の反動を使って動作を繰り返してしまうと、費やした時間や努力の割には効果が激減してしまいます。
腰を前方へ突き出していく際にお尻を締めるような意識で力を入れ、自然と腰が上がるイメージを持つようにしていきましょう。
また、ヒップスラストを行う際、バーベルを直に乗せるのではなく、可能であればスクワットパッドやタオル、ヨガマットなどを挟んでクッションを作るようにしましょう。
バーベルを直に乗せると、痛みを感じて動作に集中できない可能性があるので注意が必要です。
おしりの筋肉筋トレは他にもあります
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ヒップスラストの効果とやり方を見てきました。
このヒップスラスト、男性はもちろんですが、ヒップアップしたいという女性には特におすすめな、お尻の筋肉をつける下半身の筋トレです。
今までヒップアップをしたくて、スクワットやデッドリフトなどの筋トレを散々やってきたけど、効果がイマイチだったという方はぜひチャレンジしてください。
筋トレキャンプでした!