ネガティブトレーニングの効果とやり方を見ていきます。動作の一つであるネガティブワークを利用した、エキセントリックトレーニングとしても知られる筋トレ方法です。
ネガティブトレーニングの効果とやり方について知っていますか?
ネガティブトレーニングは、筋トレの動作の中でもネガティブワーク(ネガティブ動作)に対して大きな負荷を掛けていくトレーニング方法で、エキセントリックトレーニングとしても知られています。
その効果は特に筋肉の肥大を考えている場合に優れており、短期間で効率的に筋肉を大きくしたい人から、筋肉の成長が伸び悩んでいる、筋トレの停滞期に陥ってしまった人にまで有効です。
今回は、そんなネガティブトレーニングについて、概要から効果、そして具体的なやり方や、実践する際に覚えておきたいポイントなどを紹介していきます。
ネガティブトレーニング(エキセントリックトレーニング)とは?
ネガティブトレーニングは、エキセントリックトレーニングとしても知られるトレーニング方法。
筋トレの停滞期を打破したり、筋肉の肥大を促していくためにも非常に効果的であり、筋肉が伸びながらもブレーキを掛けるように力を出す「エキセントリック収縮(ネガティブワークとも呼ばれる)」を利用していくもの。
エキセントリック収縮では、その逆のコンセトリック収縮(筋繊維が短く収縮しながら力を出す短縮性収縮。ポジティブワークとも呼ばれる)より、120~130%ほど強い力を発揮することができるとされ、ネガティブトレーニングではその特徴を、最大限に利用していくことになります。
例えば、上腕二頭筋を鍛えるダンベルカールで言えば、ダンベルを下げていく動作がエキセントリック収縮のフェーズであり、コンセントリックでは扱えない大きな重量を使って「じっくり」とそのフェーズを行っていき、筋繊維に負荷をできる限り掛けていきます。
この様に、「筋肉が伸びていく際に、抵抗しながらじっくりと筋肉へ十分大きな負荷を掛けていく」のがネガティブトレーニングというものになります。
(参照:筋トレまるわかり大事典, p.38)
ネガティブトレーニングはなぜ効果的なのか?
ではなぜ、ネガティブトレーニングが、筋肉の肥大や筋トレの停滞期を打破するためにも効果が高いと言われるのでしょうか?
その理由の一つが、エキセントリック収縮時(ネガティブワーク)と言うのは、筋肉に微細な損傷を誘発しやすく、その後の超回復時に傷が修復されることで、より大きく成長しやすいから。
また、エキセントリック収縮では逆のコンセトリック収縮(ポジティブワーク)より、120~130%ほど強い力を発揮することができるということは、ウェイトを上げ下げする通常のトレーニング中、エキセントリック収縮のフェーズでは、十分な負荷で筋肉を追い込めていないということになる。
そのため、あえてポジティブワークでは扱えないレベルの重量を利用していくことで、ネガティブワークであっても、筋肉へ十分な負荷を掛けていき、しっかりと筋肉を追い込んでいけるようになります。
この様な理由から、ネガティブトレーニングに取り組むことは、そうでない場合と比較して、より短期間で筋肉の成長を促していける効果があるとされ、筋肉増強を引き起こすためにも、非常に効率的な方法になるのです。
ネガティブトレーニングのやり方
ネガティブトレーニングの概要や効果について理解できたかと思いますが、ネガティブトレーニングを行って、その効果を引き出していくためには、コンセトリック収縮では扱えない負荷を筋肉へ掛けていく必要があるというのが一つの条件。
その条件を考慮すると、如何にポジティブワークで扱えない重量を、ネガティブワークのみで利用していくかが問題になってきます。
そこで、ネガティブトレーニングを行う際に、最も一般的に利用される方法が、パートナーに手伝ってもらう方法。
しかしなかには、パートナーがいない場合であってもちょっと工夫をして、一人でも取り組んでいく場合もあります。
そこで、ここからは、ネガティブトレーニングのやり方について「パートナーがいる/二人で行う」場合と、「パートナーがいない/一人で行う」場合の二つに分けて、幾つかのパターンを紹介しいていきます。
パートナーがいる場合/二人で行うやり方
やり方① 補助して挙げてもらい自力で下ろす
このネガティブトレーニングのやり方は、自力で挙上できる重量より重たい重量を、パートナーに手伝ってもらって挙上し、ネガティブワークの際に、自力でゆっくりと下ろして行く方法。
トレーニングパートナーがいる場合のネガティブトレーニングトレーニング方法としては、おそらく最も一般的なやり方になるかと思います。
ちなみに下の動画は、ベンチプレスでネガティブトレーニングを行っている例です。
- ラックにバーベルをセットします
- ポジティブワークにおいて自力で扱える重量より重いウェイトを設定します(最大でも3割増しに抑えておきましょう)
- パートナーに手伝ってもらいバーを挙上します
- 手を伸ばしたトップポジションでパートナーに手を離してもらいます
- ゆっくりと時間を掛けて負荷に耐えながらバーベルを下ろしていきます
- 3~6秒程度を目安にしましょう
- 下ろし切った後に再度パートナーの手助けを得て繰り返します
やり方② 自力で挙げて負荷を足してもらい下ろす
このネガティブトレーニングは、パートナーフォーストエキセントリックトレーニングとも呼ばれることのあるやり方。
コンセントリック収縮で扱える範囲内の重量を扱ってポジティブワークは自力で行い、ネガティブワークの時にパートナーに力を加えてもらいって、コンセントリック収縮では扱えない負荷を作りあげ、ゆっくりと耐えながらネガティブワークをこなしていきます。
下の動画では様々な筋トレ種目が特集されていますが、主にバーベルカールでのネガティブトレーニングのやり方を、下で詳しく解説していきます。
- バーベルに自力で挙上できるウェイトを取り付けます
- 手のひらを上に向け、バーを握ります
- 肘を曲げてバーベルを巻き上げていきます
- トップポジションでパートナーにバーベルを上から抑えてもらいます
- パートナーは適度な重量を加えるように注意しながら、バーベルに両手をあてて下方向へ力を出していきましょう(※このような動作を「ネガティブをかける」などと言うこともあります)
- ゆっくりと時間を掛けて負荷に耐えながらバーベルを下ろしていきます
- 3~6秒程度を目安にしましょう
- その後パートナーに手をどけてもらい、再度自力で巻き上げ繰り返していきます
パートナーがいない場合/一人で行うやり方
パートナーがいない場合も、工夫次第では様々なやり方でネガティブトレーニングを実現していくことが可能になります。
ここではその中から、いくつか分かりやすい具体例を紹介していきます。
やり方① ポジティブワークはチーティングでネガティブワークはストリクトで行う
このネガティブトレーニングのやり方は、本来ターゲットとする以外の関節動作やそれに伴う筋肉も使っていくチーティングでポジティブワークは行い、本来のターゲットとする関節動作と筋肉だけを使うストリクトで、ネガティブワークを行っていくという方法。
チーティングでは、本来含まれるべきでない筋肉を関与させていくため、正しい動作であるストリクトで扱える重さ以上の重量を扱っていけるのが特徴。
例えば、下の動画はバーベルカールのネガティブトレーニングですが、挙上する際には膝関節を伸ばす力と、体幹を反らす力を使ってストリクトでは挙上できない重量を上げ、その後、ゆっくりと肘関節の動作だけでバーベルを下げているのが確認できます。
- バーベルに自力で挙上できるウェイトを取り付けます
- 手のひらを上に向け、バーを握ります
- 膝関節と体幹の力を利用しながら肘を曲げてバーベルを巻き上げていきます
- その後姿勢を正し、肘関節だけを動かしてバーベルを下げていきます
- 以上の動作を繰り返していきます
やり方② 二本でポジティブ&一本でネガティブ
このネガティブトレーニングのやり方は、ポジティブワークの際は両脚や両腕を利用して動作を行い、ネガティブワークの際は片脚や片腕だけで行っていくというもの。
片脚や片腕のポジティブワークで利用できる負荷の、2割増し程度の重量を、両脚又は両腕で挙げていき、その後、ネガティブワークでは片脚や片腕になって、その重量に耐えながらゆっくりと時間を掛けて下ろしていきます。
下の動画はデッドリフトを利用した例。
バーベルを引き上げる際には両脚で行い、下げる際には片脚で行っていっているのが確認できます。
- 片脚のデッドリフトで挙上可能な重量の2~3割大きな負荷を用意します
- そのバーベルを両足立ちのデッドリフトで引き上げていきます
- トップポジションで片脚を床から離し、ゆっくりとバーベルを下げていきます
- 以上の動作を繰り返していきます
ちなみにその他の例として、筋トレマシンを利用したチェストプレスなんかも分かりやすいので紹介しておきます。
チェストプレスの場合は、負荷を設定した後、両腕でバーを前方へ押していき、戻す動作では片手を外し、残った腕だけで耐えながらゆっくりとバーを元の位置へ戻していきます。
マシンの特徴である安全で固定された軌道を利用した、ネガティブトレーニングの方法です。
やり方③ 一部の筋トレ種目に特化したネガティブトレーニング方法
このネガティブトレーニングのやり方は、3つの中で一番シンプルな方法。基本的に必要な物は、乗れるベンチや椅子、又は箱だけ。
ただし利用できる筋トレ種目は限定されており、懸垂のように何かにぶらさがった状態で行う筋トレ種目か、自分の体を腕でバーの上に支えて行う、ディップスのような筋トレ種目に採用するのが基本。
例えば懸垂を行う際に、自分の体を引き上げていけない場合に行っていきます。
- 懸垂バーの下へ椅子や台をセットします
- 懸垂バーを軽く握ったらジャンプして、十分に体が引き上がった大勢を作ります
- ジャンプした際の反動を使って、一気に体を引き上げましょう
- アゴがバーの上に出るぐらいが目安です
- そこから、負荷に耐えながらゆっくりと体を下ろしていきます
- 以上の動作を繰り返していきます
ネガティブトレーニングに取り組む際に覚えておきたいポイント
ネガティブトレーニングのやり方の例を見てきましたが、最後に実践する際に覚えておきたいいくつかのポイントを紹介してきます。
いきなり大きすぎる重量は扱わない
エキセントリック収縮ではコンセントリック収縮に比べて、およそ2~3割増しの重量を扱っていけるというのは先述した通り。
しかし、ここで注意したいのが、ネガティブトレーニングを始めたばかりの頃は、安全を確保するためにも、いきなりポジティブワークで扱える2~3割増の負荷を使ってネガティブトレーニングに取り組まないようにすること。
開始当初は、ポジティブワークで扱える105%程度の負荷で始め、動作に慣れてきたら徐々に重量を増やしていくようにしましょう。
ネガティブワークのスピードは3~6秒が目安
また、ネガティブトレーニングを行う際、しっかりとエキセントリック収縮している筋肉へ大きな負荷を入れていくためにも、十分な時間をとって動作を行っていくことが大切。
そのためにも、基本的には3~6秒を目安にして、ゆっくりとネガティブワークを行っていくようにしましょう。
通常の筋トレと同時にやる場合は回数に気をつけて
ネガティブトレーニングを、筋肥大を目的にした「通常の筋トレ」に合わせて行って行く場合、そのトレーニングボリュームを大きくしすぎないようにすることも大切。
というのも、ネガティブトレーニングは筋肥大の効果がとても高い反面、それだけ筋肉へはストレスを掛けているということでもあるから。
通常、筋肥大に最も効率的であるとされる筋トレと言うのは、最大で8~12回繰り返せる重量を使って、3~4セット繰り返していくというもの。
このような筋トレを行った後にネガティブトレーニングを追加して、さらに筋肥大を目指す場合、基本的には3回×1~2セット程度に抑えて行えば十分かと思います。
筋トレ後の休養は十分に取るようにする
また、ネガティブトレーニングで筋肉に掛ける負荷が大きいということは、それだけ筋トレ後の休養も大切になってくるということ。
ネガティブトレーニングを行った後は、普段の筋トレ以上に回復期間を設けたり、睡眠時間を多めに取るなど、筋肉にダメージが残らないように気を使うようにしていくことが重要になってきます。
ちなみに、しっかりとネガティブトレーニングを行えば、後日にほぼ確実に筋肉痛を感じることになるかと思いますが、もしも筋肉痛が全くない場合などは、ネガティブトレーニング中に筋肉に掛かる負荷が十分でない可能性があるので、重量を増やしたり、動作のスピードを遅くして行うなどの調整をしていきましょう。
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ネガティブトレーニングの効果とやり方|ネガティブワークに負荷を掛けるエキセントリックトレーニングについてのまとめ
筋肥大や停滞期打破のために効果が高い、ネガティブトレーニングについて詳しく見てきました。
ネガティブトレーニングに取り組んでいけば、今まで以上に筋肉を成長させていけるようになるはず。
筋肥大を目指す人は、まずは実際に試してみると良さそうです!
筋トレキャンプでした!