「筋トレに慣れは禁物」
このことは、筋トレをある程度実践している人なら聞いたことがあるはずです。
同じ筋トレ種目を、同じ強度で、同じ回数繰り返しているうちに、最初の数ヶ月は効果が出ていたトレーニングも徐々に伸び悩み始めていきます。
その問題を解決するために、筋トレ種目を変えてみたり、負荷を変化させたりというのは、一般的にも取り入れられている方法だと思います。
そこへ、筋トレの一つのコンセプトであるピリオダイゼーション(周期化)を取り入れて見ると良いかと思います。
ピリオダイゼーションという言葉は、スポーツのアスリート向けのテクニックとして聞いたことがあるかもしれませんが、筋トレをやっている人向けにも、そのコンセプトを応用して採用することができます。
さっそく、ピリオダイゼーションと筋トレについて見て行きましょう。
ピリオダイゼーションとは?
ピリオダイゼーションを一言で表すのなら、トレーニングの内容を期間(ピリオド)で分けるということになります。
もう少し難しい定義をするならば、ピリオダイゼーションは「重要な試合やトレーニングのパフォーマンスを最大限にするための長期的なトレーニング・練習期間の周期的構造化」と定義できます。
つまり、トレーニングの特異性、強度、ボリュームにおいて計画された体系的な変化を管理するプログラムデザイン戦略ですね。
ピリオダイゼーションの目的は?
ピリオダイゼーションの目的は、ケガのリスクを減らしたり、ある期間のトレーニングやエクササイズの単調さを減らして、成果を最大限にすることです。
また、スポーツに関して言えば、試合時にピークの状態で臨めるようにもします。
適切に調整すれば、ピリオダイゼーションによって、競技シーズン(オリンピックのウエイトリフティング、パワーリフティング、陸上競技など)を通して、何度もピークを迎えられます。そして、サッカーやバスケットボールなどは、競技シーズン全体を通して、選手のパフォーマンスを最適化することが可能になります。
スポーツにおけるピリオダイゼーションの考え
スポーツにおいてピリオダイゼーションを考える際には、多くの場合、1年をより短い期間で分けていくことが基本となるかと思います。その理由としては、一年の中で最も重要な大会を軸と置くことが多いから。逆に言えば、オリンピックやW杯などの場合は、4年間を基本のサイクルとして考えることになります。
区切られた各期間も、それぞれが目標や優先順位を持つようデザインされたものです。基本的には次の期間に区分けされるはずです。
- 準備期
- 準備期は名前の通り、準備をする期間です。ここでの目標は多くの場合、スポーツ本番で最大のパフォーマンスを出すために、主に身体の各部位を強化したり、筋肥大を目指したり、肉体面での下地を整えることです。
- 移行期
- 試合期に最大のパフォーマンスを出すために、準備期と試合期の間に少しだけとる期間です。ここでの目標は、次の期間での高強度トレーニングに備えるための休養となる場合が多いかと思います。
- 試合期
- 試合期はその名の通り、試合がある期間です。この中では様々なトレーニングを行い、主にコンディションを最高の状態に持って行ったり維持するための調整を行います。
- 移行期
- 試合後に積極的に休養に当てるための短い期間をおきます。ここでは基本的にはリフレッシュが目的になり、その後の準備期に備えます。
筋トレトレーニーのためのピリオダイゼーション
スポーツにおいてのピリオダイゼーションは、基本的に1年という長期のスパンで考えていたり、純粋に期間分けということで考えていました。
それに対して、筋トレのピリオダイゼーションは、もっと短期間で、種目の変化やセットの組み方の変更、そして休息日の増減などのように、トレーニング内容を期間ごとに少しずつ変えてみるといった形になります。
よりイメージしやすいように下へ具体例を挙げてみます。
- 3ヶ月ごとに変化させるピリオダイゼーション
- 最初の3ヶ月間は軽いウェイトでフォームをゆっくりと正確に行うストリクトで
- 次の3ヶ月間はより重いウェイトで反動を使ったチーティングを主軸に
- その次の3ヶ月間は重いウェイトを使いストリクトで
- 一週間ごとに変化させるピリオダイゼーション
- 1週目は3日間のトレーニングと合計10種目を5セットずつ
- 2週目は4日間のトレーニングと合計10種目を5セットずつ
- 3週目は2日間のトレーニングと合計15種目を6セットずつ
こんな感じで、ピリオダイゼーションを活用して効果が出せるように、自由に筋トレのメニューを組んでいきます。
筋トレにおいては、超回復や休息などもピリオダイゼーションの一つの要素として考えておくことも大切なので覚えておきましょう。
ピリオダイゼーションはなぜ必要か?
ピリオダイゼーションの効果や目的という点は理解出来たかと思います。そこで、ピリオダイゼーションについて「なぜ必要か?」という視点からその理由を簡単にまとめてみます。
- 負荷・強度・回復等を管理してオーバートレーニングや怪我のリスクと疲労の管理が可能
- サイクル構造でスポーツの一般的な準備や特定の準備の両方を最大化
- 特定期間においてパフォーマンスを最適に保つことが可能
- 自由に組めるので時間的制約・トレーニング年齢および状況・環境的要因などへ個別に対応可能
上の項目の中で2〜4については、すでに説明をしてきたので、理解しやすいかと思います。この中で1については、もう少しだけ説明を加えておきましょう。
ピリオダイゼーションを活用することで、疲労回復や怪我のリスクを抑えることが可能です。ピリオダイゼーションの中には、必ず休養が入ります。この休養をサイクルの要素というパーツとして認識することで、自ずとその日・その時間は休養に当てられ、破壊された筋繊維の回復や、その他の器官にまでしっかりと栄養が行き届くような状況を意識しないでも作れます。
他にも、もし一定期間同じ箇所をずっとトレーニングしている場合、同じ部位に多くの負荷が加わり、人によっては痛みが生じたり、最悪の場合慢性的な痛みや大きな怪我につながってしまいかめません。
しかし、ピリオダイゼーションでトレーニング内容を変更していけば、これらの怪我も予防できるということになります。(怪我をしないようにわざとピリオダイゼーションを活用するのもあり)。
ピリオダイゼーションの期間の種類
ピリオダイゼーションの期間分けは、スポーツなのか筋トレなのかによっても変わってきたり、さらには筋トレであれば人それぞれ違ってきます。
そのため、その自由さゆえにトレーニングの計画をする段階で迷ってしまうこともあるかもしれないので、ピリオダイゼーションの期間をそれぞれの種類に分けた表を下へ載せておきます。トレーニングを計画するときに参考にしてください。
サイクル | 単位 |
オリンピックサイクル(4年周期サイクル) | 4年以上の複数年プラン |
マクロサイクル | 1年以下 |
メソサイクル | 1ヶ月程度 |
マイクロサイクル | 1週間 |
ナノサイクル | 時間/分 |
筋トレのピリオダイゼーションにおいて計画したい要素
筋トレを実践している人は早速ピリオダイゼーションを、今後のトレーニング計画に入れていきたいと思っているかもしれませんね。
そんな筋トレにおいて、ピリオダイゼーションをより効果的に計画するためにも、変化をつけたい要素をまとめておきます。
- 1回のトレーニング中
- 重量
- 回数
- セット数
- 種目
- 種目のフォーム
- 種目数
- 種目配列
- インターバル時間
- セットの組み方
- ルーティン
- 分割の仕方
- 休息の頻度
- ダブルスプリット
- 栄養
- 食事の取り方
- サプリメンテーション(逆にやめるのもあり)
(※参照:筋肥大メソッド―筋肉に手を加えることで理想のカラダは手に入る)
上記の要素を基本的な変更点として、ピリオダイゼーションを取り入れたトレーニングを計画してみると良さそうですね。
筋トレで結果を出すために次も確認しておきましょう
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「最高の状態でできるようトレーニングを構成するための方法は沢山ある!」というシンプルな事実を、ピリオダイゼーションは証明しています。
スポーツであっても筋トレであっても、トレーニングにピリオダイゼーションの手法を利用できないと、オーバートレーニングをもたらし、成長へ向けた効果的な回復に失敗し、トレーニングにつぎ込んだ時間から得られるはずの、最大の成果を感じられずに終わってしまうかもしれません。
ピリオダイゼーションはとても簡単なコンセプトで、応用も可能なのでトレーニングメニューに取り入れていくと、より高みを目指していけると思います。
筋トレキャンプでした!