骨格筋とは?構造や種類から運動単位についてまで



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骨格筋について解説していきます。構造や種類、そして知っておきたい運動単位などについて確認していき、骨格筋に関しての理解を深めていきましょう。

骨格筋について詳しく見ていきましょう。

骨格筋は人体の動作を担っている主役であり、日常生活からスポーツにおいてまで、人が動くためには最も大切になる器官の一つ。

厳密に言うと、筋肉はいくつかの種類に大別することが可能ですが、その中でも、一般的に「筋肉」としてイメージされるものが、この骨格筋に当たります。

骨格筋は人体を理解して健康的な体を目指す上でも、また、筋トレに取り組んで体を鍛えるためにも大切なもの。

そんな骨格筋について、その概要を確認していき、さらに構造や種類、そして、知っておくと良さそうな運動単位などについての知識も紹介していきます。

骨格筋についての知識を増やすためにも確認してみましょう。

骨格筋とは?

骨格筋とは、人体の中で唯一の随意筋(人間が意識して動かすことが出来る筋肉)で、一般的に「筋肉」としてイメージされる種類の筋肉(注1)

その数は人体の中でに400~700程度あるとされ、ほとんどは左右対称についており、およそ体重の40%〜半分程度を占めるともされています(参照:運動に関わる筋肉のしくみ, p.20 & PainScience.com

そして、この骨格筋は、その名前にある「骨格」からもイメージ出来るように、基本的には筋腹(片側の腱からもう片方の腱までの筋肉の本体部分)の両端が腱(筋腹と骨をつなぐ非常に硬い組織)に移行して骨にくっ付いているのが特徴(※顔の表情筋にはそうでないものも含まれる。ただし、表情筋も骨に付着する部分が必ず1か所以上はある)

そのため、骨格筋が縮むことで、

両端についている骨が引き寄せられ、関節が動く

(引用:骨・関節・筋肉の構造と動作のしくみ, p.29)

というのが主だった働きになる一方、

関節を動かないように固定しておく

(引用:骨・関節・筋肉の構造と動作のしくみ, p.29)

というのも、骨格筋の重要な働きとなります。

さらに、骨格筋を骨格筋たらしめる、骨の動きに伴う関節動作の動力源としての働き以外に骨格筋は、

  1. 体温維持のための熱源となる
  2. 血液の循環を助ける
  3. 外的な衝撃から身体を保護する
  4. 糖や脂質の代謝を一定に保つ
  5. 大脳の視床下部を刺激してホルモンの分泌を活性化させる

(参照:運動に関わる筋肉のしくみ, p.20)

といった、生命活動の維持や調整に大切な役割も担っていたりします。

注釈1:筋肉は骨格筋以外も存在する

「筋肉」と言えば、一般的に骨格筋がイメージされることが多いですが、人体には骨格筋には含まれない「心筋」と「内臓筋(平滑筋)」も存在します。

そのため、大きく分けると「骨格筋」「心筋」「内臓筋」の3つに分けることが出来、それぞれの違いは以下の通りになります。

筋の種類 構造的な特徴 存在する位置 働き 随意筋/不随意筋
骨格筋
横紋筋(縞模様を作る)
・骨格に付着
・顔の場合はその他の組織(皮膚など)に付着
関節を動かす 随意筋
心筋 ・心臓壁 心臓を動かす 不随意筋
内臓筋 平滑筋(縞模様は作らない) ・血管
・胃
・腸
・胆のう
・膀胱
・肺の気道 など
心臓以外の内臓を動かす 不随意筋

骨格筋の構造

骨格筋の構造をマクロな視点でみた場合

骨格筋の構造を詳しく見ていくと、骨格筋は多数の筋線維(筋細胞)が集まって出来ているものであることが分かります。

ただし、この筋線維もただそのまま集合することで骨格筋を作っているわけではありません。

いくつかの筋線維が集り、周囲を筋内膜という結合組織で覆われることで筋束(筋線維束)を作り、この筋束(きんそく)がさらに集合した状態で筋周膜に覆われると、初めて骨格筋としう形で成り立つのです。

つまり、骨格筋の構造をマクロな視点で見ていく場合、

  1. 筋線維が集まって筋内膜に覆われる
    1. 筋束が出来る
  2. 筋束が集まって筋周膜に覆われる
    1. 骨格筋が出来る

というように因数分解していくと、理解しやすいかと思います。

骨格筋の構造をミクロな視点でみた場合

一方、骨格筋の構造をさらにミクロな視点で見ていく場合、筋線維はさらに小さな単位で構成されていることが分かってきます。

まず、筋線維は、それが最小の単位または線維というわけではなく、さらに微小な線維である筋原繊維が束になったもの。

そしてこの筋原繊維は、骨格筋の収縮作用において最小の単位となるサルコメア(筋節)が、横に規則正しく並んで繋がることで構成されていることが分かります。

つまり、ミクロな視点での骨格筋の構造は、

  1. サルコメアが横に規則正しく並んでつながる
    1. 筋原線維が出来る
  2. 筋原繊維が束になって集まる
    1. 筋線維が出来る

というように、理解していくことが出来ます。

サルコメアの構造

ちなみに、骨格筋が収縮する際の最小単位であるサルコメアの構造を簡単に見ていくと次のように、二つのフィラメント(タンパク質分子が作る繊維状の構造)が確認出来ます。

  • 細いフィラメント(アクチンフィラメント)
    • 主成分のタンパク質分子であるアクチンが螺旋状に結合(重合=一つの分子が2個以上結合して分子量の大きい化合物を生成する反応)して形成されている。
    • ミオシンフィラメントに比べて細いのが特徴。
  •  太いフィラメント(ミオシンフィラメント)
    • タンパク質分子であるミオシンから成り、タイチン(チチン)というタンパク質によって位置を安定させられている。
    • おたまじゃくしのような頭を二つ持つミオシン分子が集合しているため、ミオシンの頭部が飛び出している(クロスブリッジ)のが特徴

そして、この二つのフィラメントは、お互いがお重なり合うような構造をしており、そこへカルシウムイオンが放出されると、それをトリガーとしてお互いが滑走するように距離を縮めていくことになります。

(出典:wikipedia: Sarcomere

すると、サルコメア自体の長さが短くなり、この距離の短縮が筋原線維の長さを短縮させ、結果、筋線維の長さが短くなることで、その筋線維が集まって出来た骨格筋が短縮することになるのです。

骨格筋の種類

骨格筋の種類や名称は、筋肉の位置、起始や停止の位置、起始の数、形状、大きさ、機能等、様々な要素に基づいてつけられています。

そのため、ここでは主だった要素を元にして、骨格筋にはどのような種類があるのかを可能な限り分かりやすく見ていこうかと思います。

形状による分類

骨格筋の種類に関しては、何を軸にするかで様々な分類が出来るかと思いますが、まずは最も基本的とも言える、形状による骨格筋の種類を見ていくと、次のように主だったものをまとめることが出来るかと思います。

種類 形状
紡錘状筋
(平行筋)
筋繊維が腱に向かって平行に並ぶ(最も一般的な形状)。パスタの束のような形をしている ハムストリング
羽状筋 筋繊維は中央の腱に付着しながら、斜めに走行している ヒラメ筋
半羽状筋 中央の腱を中心にして半分だけに斜めに走行した筋繊維が付着している 半膜様筋
多腹筋 筋腹が腱(腱画)によって分断されている 腹直筋
鋸筋(きょきん) 鋸の歯のような形で広がっている 前鋸筋

起始の数

骨格筋はまた、その起始の数によっても、種類を分けることが可能。

(肩関節につながる起始部が二つに別れる上腕二頭筋)

まず起始とは、骨と筋肉の端が付着している部分のうち、身体の中心(体幹)に近い方のこと(その逆は停止と言う)。

多くの骨格筋には起始部は一つしかありませんが、中には2つや3つなどに別れているものもあり、例えば、上腕二頭筋や上腕三頭筋などが具体例として挙げられます。

ちなみに、この起始が複数に別れている筋肉は紡錘状筋に含まれるため、形状で分類した場合には「紡錘状筋」となり、起始数でさらに細かく分類していくと、二頭筋や三頭筋などといった種類に分けていくことが可能になります。

骨格筋の位置

また、骨格筋はその位置によっても、便宜的に種類別に分けられたり、解剖学的名称がつけられたりしています。

例えば、名称の中に「腹」とある、お腹前面の腹直筋や、お腹の側方にある腹斜筋などは、名前からして直ぐにお腹に位置する種類の骨格筋であることが分かります。

また、スネの脛骨に位置している筋肉には、前脛骨筋後脛骨筋があり、こちらも、脛骨に位置する種類の骨格筋であることが一目瞭然です。

さらに、起始と停止の位置によって、名前が付けられているものもあります。

例えば、胸鎖乳突筋であれば、起始が胸骨と鎖骨に、停止が頭骨の乳様突起につながっていることから、その名前が付けられています。

大きさによる種類分け

そして、同じ部位に複数の筋肉がある場合、筋肉の大きさを軸にして種類分けすることもあります。

例えば、分かりやすい例で言うと、臀部に位置する臀筋群。

臀筋群には、大臀筋中臀筋小臀筋が存在するわけですが、これらの筋肉の名前はそれぞれ大きさに紐付いています。

他にも、背中上部の深層に位置する菱形筋群などにも、大菱形筋と小菱形筋があり、それぞれの大きさによって名前が付けられています。

機能による種類分け

骨格筋の種類を分類するときは、その「機能」によって分けることもしばしば行われます。

例えば、前腕には非常に多くの細かい筋肉が存在しますが、一つ一つの名称を挙げるのではなく、共通した機能によって分けることがとても一般的です。

具体的には、

  • 手首の屈曲(曲げる)機能を持つ筋肉群
    • →手関節屈筋群、手関節掌屈筋群、前腕屈筋群などと呼ばれる
  • 手首の伸展(反らす)機能を持つ筋肉群
    • →手関節伸筋群、手関節背屈筋群、前腕伸筋群などと呼ばれる

といった感じです。

他にも、肘関節屈曲筋群に対して肘関節伸展筋群や、股関節の外転筋群に対して股関節の内転筋群など、機能による骨格筋の種類分けは非常に多くの場面で目にすることになります。

筋線維の種類

ちなみに、「骨格筋」としてではなく、骨格筋を形成する「筋線維」で見た場合には、遅筋線維(タイプ1)と速筋線維(タイプ2)に分類することが出来、速筋線維はさらに2aと2bの二つの種類に分けることが出来ます。

(左からタイプ1、タイプ2a、タイプ2b)

それぞれを、簡単に解説していくと次の通りです。

  • 遅筋線維(タイプ1)
    • 筋収縮が遅くゆっくりと作用するもの
    • 有酸素性代謝(酸素を使ってエネルギーを作り出す)が起こるため、疲労に対する耐性が非常に高いのが特徴
    • スタミナや姿勢を保つのに役に立つ
  • 速筋線維(タイプ2a)
    • 遅筋線維よりは速く収縮するが、タイプ2bの線維よりはやや遅い
    • 有酸素性代謝と無酸素性代謝(エネルギー生産に酸素を必要としないもの)の両方を利用出来る
    • 大きな力を発揮出来るが、疲労に対する耐性は低い
  • 速筋線維(タイプ2b)
    • タイプ2aよりもさらに速く収縮する
    • 無酸素性代謝を利用する
    • 非常に大きな力を発揮できるが、疲労に対する耐性は極めて低い
    • 特に上半身の骨格筋に集中している傾向がある

(筋繊維の種類比較表)

筋繊維の種類と特徴
遅筋繊維 速筋繊維
タイプ1 タイプ2a タイプ2b
ピンク
ミオグロビンとチトクロームの含有量 多い ある程度 極めて少ない
代謝方法 有酸素性 有酸素性&無酸素性 無酸素性
収縮の速度 遅い 速い とても速い
疲労度合い 疲れにくい 疲れやすい とても疲れやすい
筋トレで太さが変化するか? しない する する
最大の力を発揮するまでにかかる時間 0.1秒 0.05秒 0.025秒

ちなみに、骨格筋によって遅筋線維と速筋線維が含まれる割合は違うものの、どちらの種類の筋線維も含まれます。

他にも知っておきたい骨格筋についての知識

骨格筋について、基本的な概要から構造、そして種類についてまでを見てきましたが、最後に他にも抑えておきたい骨格筋についての知識をいくつか確認しておきます。

基本的に骨格筋は複数で作用する

通常、人体で起こる動作において、骨格筋が単独で作用するといことはほとんどありません。

多くの場合、骨格筋は複数で連携することによって正確な動作を作り出しているのです。

そして、その動作において主に使用される筋肉のことをは主働筋(主動筋)と呼び、その動作へ協力(補助)するように働く筋肉は共働筋(協働筋)と呼ばれ、一般的にこの共働筋は、主働筋の近くに存在していることが多くあります。

一方、主働筋とは逆の作用を持つものとして拮抗筋が存在し、この拮抗筋は、主働筋が力を出した際に過度な作用が生まれないよう、ブレーキのように力を出す働きを持っています。

また他にも、特定の部位の動作を起こしている間も、体幹を支えたり、姿勢を正しておく必要があるため、どの骨格筋が主働筋として関与するかに関わらず、多くの場合は、スタビライザー筋(体幹を安定させる筋肉)が動員され、関節を固定したり、バランスを安定させたりしています。

運動単位と骨格筋

骨格筋は運動神経(運動ニューロン)によって支配されるわけですが、ここで知っておきたいのが運動単位(モーターユニット)の存在。

運動単位とは、

一つの運動神経(運動ニューロン)と、それが支配する筋線維の集団をまとめたもの

(引用:新・筋肉まるわかり大事典, p.66)

のことであり、各骨格筋の中には、この運動単位がたくさん存在しています。

また、運動単位自体もサイズが異なり、小さなものは数十本から、大きなものでは2000本以上の筋線維が、一つの運動ニューロンに繋がっているとされており、これは各筋肉の機能によって左右されていると考えられている。

例えば、目や指のように細かい動きを司る筋肉は、脳が正確にコントロールできるように、各運動単位に含まれる筋線維が非常に少なくなっている一方、脚や腕など、機能を果たすために大きな力が必要とされる筋肉は、各運動単位にたくさんの筋線維が含まれる傾向にあります。

そして、この運動単位を考える際に大切なのが、一つの運動単位は「全か無かの法則」で成り立ており、一つの運動ニューロンから筋繊維に信号が送られたときには、そこにつながっている全ての筋線維が「等しく活動する」ことになります。

つまり、一つの運動単位に含まれる一部の筋線維が活動して、残りは活動しないといったようなことは起こらないということ。

そのため、骨格筋を動かして大きな力を発揮する際は、より多くの筋繊維がつながるサイズの大きな運動単位を動かすか、一つの単位として働く活性化した運動単位の数を増やすかのどちらかが起こることになります。

 

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