タンパク質と言えば、筋肉に欠かせない栄養。
筋トレをしている人であれば、必ずと言っていいほど考えるべき栄養成分ですね。ほとんどの場合、牛肉や鶏肉、そして卵などを連想するかと思います。
実際、筋トレを続けている人の食事には、おそらく肉などのタンパク質が豊富な食材が多いはずです。(もちろん中には気にしていない人もいるかと思いますが!)
そんな、筋肉の栄養素を摂取すると考えた場合に、「豆乳」を考えてみたことはありますか?
豆乳と聞いて鋭く反応するのは女性の方が多そうですね。「ローカロリー」「ヘルシー」「イソフラボン」どれも女性には魅力的な響きだと思います。
でも豆乳は女性に限らず、筋トレをしているような男性にとってもタンパク質供給源として有効かもしれません!
今回は筋トレと豆乳について、豆乳の効果やタンパク質、そして大事な筋肉に与える影響などを考えていきましょう。
動物性タンパク質と植物性タンパク質はどう違う?
タンパク質に動物性と植物性が有るのは、どなたもご存知のことでしょう。豆乳のタンパク質やその効果を見て行く前に、まずは大前提の動物性と植物性タンパク質の違いを確認してみましょう。
動物性タンパク質について
動物性タンパク質とは、その名の通り、簡単に言ってしまえば動物から摂取できるタンパク質のことですね。そして、その動物性タンパク質の特徴を確認していくために、アミノ酸スコアというものをまずは見ていきましょう。
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、必須アミノ酸と言われる9種類のアミノ酸があります。この9種類については体内で生成されないので、外から摂取しないといけないわけです。
この9種類の必須アミノ酸のバランスを数値化したものを、アミノ酸スコアと呼び、このアミノ酸スコアが100の食品が最も優秀であり、その数値は1~100の間で表されます。そして、ダイエットや筋トレに効果的なタンパク質食品はもちろん100に近いものです。
ここでアミノ酸スコアが100の食材の代表的な例を挙げると、次のような食材が確認できます。
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- 鯵
- 鰯
- 鮭
- 卵
- 牛乳
- ヨーグルト
何か特徴ありませんか?
そう、アミノ酸スコアが高いものに動物性タンパク質の食材が多くあるんです。逆に言えば、動物性タンパク質は、アミノ酸スコアの高い良質なタンパク質であるといえます。
また、動物性タンパク質は体内に蓄積できるという長所も持っているので、筋肉の増強には欠かせない食品です。
しかし、肉類を食事から摂取しようとすると、同時にそれに含まれている脂肪やコレステロールも摂取してしまい、カロリーオーバーになってしまうこともあります。
植物性タンパク質について
植物性タンパク質もその名の通り、野菜や穀物などの植物から摂取できるタンパク質のことです。
同じように、代表的な植物性タンパク質を含んだ食材を見て行くと、植物性タンパク質のアミノ酸スコアは次のようになります。
- 玄米・・・68
- 精白米・・・65
- 食パン・・・44
- ニラ・・・77
- ブロッコリー・・・80
動物性タンパク質に比べると、明らかにアミノ酸スコアの数値が低いですね。このアミノ酸スコアの低さが動物性タンパク質と比較した場合の大きな違いの一つです。
ここで豆乳の原料である、畑の肉と言われる大豆のアミノ酸スコアも確認してみましょう。
- 枝豆(収穫時期が違うだけで大豆と同じ植物です)・・・92
- おから・・・91
- 豆乳・・・86
大豆製品は植物タンパク質の中でも、かなりアミノ酸スコアの高い食材だということが分かります。
もう一つ、動物性タンパク質と植物タンパク質の大きな違いは、ほとんどの植物性タンパク質はアミノ酸量が少ないので、体に蓄積できない短所があるということです。しかし、大豆のタンパク質は、その中でも比較的体内に蓄積されやすいと言われています。
そして、動物性タンパク質の摂取はカロリーや脂肪などを気にする必要があるのに対して、植物性タンパク質の場合は、基本的にヘルシーなので、そこまで気にする必要がないという特徴があります。
動物性タンパク質と植物性タンパク質の違いまとめ
動物性んぱく質 | 植物性タンパク質 |
アミノ酸スコアが高い | アミノ酸スコアが低い |
体内に蓄積されやすい | 体内に蓄積されにくい |
脂質やカロリーは高め | 基本的に脂質やカロリーは低くヘルシー |
大豆のタンパク質
植物性タンパク質でありながら、豆乳の原料である大豆は、アミノ酸スコアが高く、植物性タンパク質の中では比較的体内にも蓄積されやすい。
豆乳の一般的な特徴とは?
動物性と植物性のタンパク質の違いは理解できましたか?ここで、豆乳が筋トレに及ぼす効果について触れる前に、豆乳の一般的な特徴を見ていきましょう。
(※ここで言う豆乳は成分無調整の豆乳と考えてください。調整豆乳だと、カロリーや成分が変わってしまいます)
高タンパク低カロリーな食材
豆乳は植物性タンパク質を含む低カロリーの飲料です。
牛乳と比べても100g当たりのカロリーは豆乳46kcal、牛乳は67kcalと、牛乳の3分の2程度です。それに対してタンパク質の量は、豆乳3.6mg、牛乳3.3mgと牛乳よりも多いのです。
タンパク質を摂るために牛乳を飲んでいた人は、豆乳に変えるとカロリーダウンできますね!
血液をサラサラにして美肌効果も!
その他の豆乳の特徴は、成分の一つであるイソフラボンがコレステロールを下げ、血液をサラサラにしてくれるということです。その他にもビタミンB1、B2、B6、Eなども含まれていますので、美肌効果も豆乳の効果の一つかもしれないですね!
豆乳の筋トレに関する効果
ここまで豆乳について色々とわかってきたと思いますが、それではそろそろ、筋トレに対しての豆乳の効果をみていきましょう。
筋トレのコンディションの調整がしやすい
筋肉を効果的に付けるのに欠かせないタンパク質ですが、動物性タンパク質を多く含む食品(肉や魚)は、タンパク質と共に脂肪も沢山含まれているというのは既にお話しました。
筋トレで筋肉を付けたい人が1日に必要なタンパク質の量を、90gとしましょう。タンパク質を下に挙げる平均的な食事から90g摂取しようとした場合、1日の総エネルギーは2,500kcal前後にもなってしまい、完全なカロリーオーバーになってしまいます。
- 朝食
- 目玉焼き・ヨーグルト・牛乳・ロールパン2個
- 昼食
- 豚肉を120g使った野菜炒・サケの切り身70g・ご飯・みそ汁
- 夕食
- 100gのステーキ・煮豆・ご飯・みそ汁
(この献立の合計カロリーがなんと、だいたい2,500kcal!)
豆乳は脂肪やコレステロールを含みませんので、タンパク質を摂取しようとするための食材を一つだけ豆乳に変えることで、低カロリーで体に優しいタンパク質を多く含んだ食事に変えることが出来ると言えます。
そのようにすれば、体のコンディションを調整するのも比較的楽になりますよね?
筋トレ直後の豆乳は成長ホルモン濃度を上昇させる?
筋トレなどの運動直後に大豆ペプチドを摂取することで、血液中の成長ホルモン濃度が上昇するという研究結果がでています。
この成長ホルモン濃度が高まることはつまり、筋肉を作る効果がより高まるということになります。この効果を狙って、筋トレをした後に豆乳を摂取することは、タンパク質をただ摂取するだけではなく、成長ホルモンの分泌を促し、効率的な筋肉の成長を促進することにもつながるのです。
さらには、筋肉の疲労回復の観点からしても、大豆ペプチドが少なからず効果がありそうだとの報告もあるようで、筋トレをやる上で、豆乳は摂取する食品の一つのオプションとしておすすめです。
より痩せやすい体をサポート!
筋肉をつけて基礎代謝を高めてダイエットするということは、筋トレをやっている人の中でも多くの人が抱える目的でしょう。
筋肉を付けようと肉や魚をたくさん食べて脂肪も一緒に摂ってしまうと、先にも述べましたようにカロリーオーバーになってしまいます。
しかし、豆乳に含まれるサポニンには、脂肪の吸収を防ぎ、血管内の悪玉コレステロールを排除する働きがあります。BMI値(体重÷身長÷身長)が25以上(肥満と判断される数値)の男性にサポニンを摂取してもらう実験の結果、88%の中性脂肪が減ったという、うれしい結果も報告されています。
また、血流が滞ると、筋トレの効果が下がるだけでなく、ダイエットの大敵のセルライトが溜まりやすくなってしまいますが、豆乳に含まれるレシチンには血流を促進して血圧を下げる効果も有ります。筋トレと一緒に豆乳の効果を得ることで、より痩せやすくなるとも言えるのです。
女性の場合は他にも良い効果が!
特に女性に対しての話になりますが、その他の豆乳の効果として、豆乳に含まれるイソフラボンが女性ホルモンに似た働きを行うことで、年々女性ホルモンが減ってしまう女性の肌や髪、骨までも丈夫にしてくれる効果があります。
女性の場合は、筋肉をつけるためだけではなくて、女性ホルモンの補充をしていつも若々しく健康でいるためにも、豆乳の効果を上手く利用すると良さそうですね。
筋肉を付けるために豆乳を摂取するタイミングは?
何事にもタイミングって大事です。今まで豆乳の様々な効果について確認してきたのに、摂取のタイミングが悪ければ、効果を最大に発揮することはできません。ここで、豆乳を摂取するタイミングについて確認してみましょう。
まず考えるべきは筋トレ直後
筋トレ後の30分を、タンパク質吸収のゴールデンタイムと言います。筋トレ後30分以内にタンパク質を摂取すると、筋トレの効果は4倍にも跳ね上がるとも言われており、1日に1回豆乳を飲むという人は、筋トレ後30分以内が一番効率的と言えるでしょう。
さらには先ほど述べた通り、筋トレや運動の直後に大豆ペプチドを摂取すると成長ホルモンの分泌がより促されます。
そのため、筋トレの効果を最大限に還元するためにも、筋トレ後30分以内に豆乳を摂取するのが一番良いと思います。
就寝前も豆乳摂取を考えて良さそう
また、筋肉を修復して大きくしてくれる成長ホルモンは、通常1日のうちでは睡眠後に最も分泌されます。
つまり、寝る直前の豆乳摂取もタンパク質を体に補いながら、成長ホルモンの分泌も促す可能性もあり、効率の良い飲み方と言えるでしょう。
もし2回飲めるのであれば、筋トレ直後に豆乳を摂り、さらに睡眠直前にもう一回飲むというのが筋肉を作る上で良さそうです。
筋トレのために豆乳を取る際の注意点
今まで豆乳の優れた筋トレ効果を見てきましたが、だからといってどんな場合でも優れているわけではなさそうです。筋トレ目的で豆乳を摂取する場合に、気をつけておくべきことを最後に確認してみましょう。
摂りすぎに気をつける
豆乳に多く含まれる大豆イソフラボンは、乳がんや前立腺がんの予防に効果的です。女性ホルモンに似た働きがあるので、女性の更年期障害の症状緩和にも役立ちます。
厚生労働省の研究チームによると、食品からのイソフラボン摂取量が多いほど乳がんや脳梗塞・心筋梗塞の症状軽減に効果的だとの発表もあるぐらいです。
何も問題はなさそうですよね?でも、注意してみてください。「食品からのイソフラボン摂取量」と書いてあります。
これは、食事などからは通常そこまでイソフラボンを摂取することはないからであって、サプリメントなどでは過剰に摂取してしまうこともあり、以下のような副作用が起きる可能性も有ると指摘されているからです。
- 女性
- 女性の場合は月経周期が伸びる
- 血中のホルモン値に変動が起きる
- 男性
- 体つきが丸みを帯びて女性的になる
他にも、動物実験では胎児や新生児の生殖器官に対しての有害作用が報告されています。
過剰摂取の目安として、「長期にわたって1日当たりの摂取量が75mgを超えた時」と、なっています。豆乳に含まれるイソフラボンの量は、100g当たり20〜25mgなので、毎日200g程度の摂取なら、他の食品との摂取量も合わせて問題ないようです。
動物性タンパク質も絶対に摂るべき!
いくら良質なタンパク質を含んでいる豆乳だからといって、動物性タンパク質を全く摂らないことは筋肉を付けて行く上で絶対にやめた方が良いです。動物性タンパク質も必ず摂取するというのが一番の注意点でしょう。
まず人間の体は、摂取したタンパク質のうち動物性タンパク質の割合が30%を下回ってしまった場合、体調に不調をきたすことがあると言われています。
他にも植物性タンパク質は動物性タンパク質と比較して、体にあまり吸収されないため、体に必要なタンパク質量を摂っているつもりでも、そもそも体に吸収されていないので筋肉になることはなく、逆に筋肉が萎んでしまうことも考えられます。
そのため、筋トレをして筋肉を大きくしたいなら、基本的には動物性タンパク質をしっかりと摂取して、より効果を高めるため、又は補助やコンディショニングの目的で豆乳を摂取するべきでしょう。
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筋トレに豆乳は効果ありそうですね。豆乳の様々な恩恵を受けるためにも、しっかりと筋トレを行って、飲み方にだけ注意をしていけば、筋肉の成長をより加速させることにつながるかもしれませんね!
コンビニでもスーパーでもどこでも豆乳は手に入るので、早速ためしてみてはいかがですか?
筋トレキャンプでした!